ターミネーター:新起動/ジェニシス Terminator Genisys

2015年 外国映画 4ツ星 タイムトラベル ロボット:自律型 電脳 @A.シュワルツェネッガー

アップグレードした

ターミネーターシリーズ、5本目の映画になるが、これまでの流れをぶった切ったリブート作品だった。三部作を予定しているためか、本作ですべての謎は明かされず、もやっとした気分で映画館を出ることになったが、とりあえず「新起動」を喜びたい。

1作目の『ターミネーター』(1984)から31年。アーノルド・シュワルツェネッガーも67歳になったが、ターミネーターの皮膚組織が経年劣化するという設定で現在年齢、さらにはもっと年老いた状態まで描くアイデアに脱帽する。一方で、若かりしころの風貌はCGで完全再現。おまけにラストで液体金属対応にアップグレード。これでシュワルツェネッガーは生きてるかぎり、あるいは死んだあとでもターミネーターを演じられる。すごいよ、ほんと。

タイムパラドックスがテーマに?

ターミネーターのテーマは第一に「機械の反乱」だったが、本作では「タイムパラドックス」が強調された。ジョンは「スカイネットを倒すまでの自分」をカイルとサラから聞いている。そしてスカイネットも「自分が倒されるまで、ジョンには勝てない」ことを知っており、カイルが時間跳躍してからの逆転策を講じていた。あの瞬間から未来は確定していないからだ。
ただちょっと早かった(カイルに見られた)ため、本作においては失敗している。次はもっと慎重にやるだろう。そう考えると、ロボットの反乱と人類の勝利、時間跳躍までの流れは何度繰り返されたのだろう? 『T3』や『T4』、『TSCC』といった可能性も内包したリブートなので、ワクワクする。

未来からの時間跳躍を整理すると、下記のようになる。さらなる過去改変を防ぐため、守護者を送った人物を伏せたところがうまい。

  • スカイネットがT-800を1984年に送る。
    • ジョンがカイルを1984年に送る。
  • スカイネットがT-1000をサラの幼少期に送る。
    • 何者かが守護者(T-800)をサラの幼少期に送る。
  • ジョン(T-3000)が2017年に跳躍する。

しかしジョン(T-3000)が2017年に跳躍した理由がわからない。1984年の襲撃が失敗したことをスカイネットが知って送り込んだのか? だとすれば2017年のジェニシス起動の失敗も露見し、また新たなターミネーターが送られてくる可能性もある。もう、わけがからない。わからないと言えば、1984年に強酸で破壊されたT-1000が2017年の世界にいたのも奇妙。あれはジョンの変身か? それともミスか?

ジョンは狂ったのか?

ジョン(T-3000)はスカイネットに支配されたように見えるが、あんがい、正気かもしれない。ジョンは生まれた時からスカイネットに勝つために生きてきた。スカイネットに勝つまでの人生は、もう決められたことであり、絶対に逸脱できない。しかしカイルが跳躍した瞬間、スカイネットだけでなくジョンも自由になった。救世主の仮面をかなぐり捨てて、人類を滅ぼす魔王になっても不思議はない。
スカイネットとジョンは表裏一体だ。ゆえにスカイネットとジョンが融合して、完全に自由な存在になるのはきわめておもしろい。彼が言うとおり、両親であるカイルとサラを殺しても平気かもしれない。


※救世主の本心を、だれが知るだろう?

少女サラと機械の交流(調教)も見たい

三部作では描かれないだろうが、幼少期のサラと守護者のエピソードも見てみたい。ジョンと同じようにT-800を調教し、守護者に変えていく過程はおもしろそうだ。まぁ、1970年代が舞台になるので撮影が面倒そうだが。


※少女サラと守護者の物語も見たい!

うれしい観測者

あと細かいことなんだけど、オブライエン刑事がよかった。1986年でカイルとT-1000の戦闘を見て、その意味をずっと考えてきた男が求めた答えにしびれる。シリーズ定番のピーター・シルバーマンじゃなかったことは残念だが、これはこれでよし。

「世界の終わりを止めに来たの」
「わかった!」


※オブライエン刑事

それからそれから、ターミネーター同士の格闘戦が強烈とか、守護者がサイバーダイン社の工事現場で働いていたとか、語りたい点はたくさんある。
しかし本作のテーマを考えると材料が少ないため頭がパンクする。続編で足りないピースは埋まるだろうか? この物語に決着はあるんだろうか? 期待と不安が高まっている。

ターミネーター
本編
サラ・コナー・クロニクルズ(TSCC)
  • 2008 第1期(全9話) ... 少女型ターミネーターはすべてを語らない。
  • 2008 第2期(全22話) ... スカイネットも人類抵抗軍も一枚岩じゃない。

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