死ぬまでは生きていたい
2007年 生活 健康 医療 死生観 考え事ガン治療の本に、こんな話が紹介されていた。
ある30代の女性にガンが再発した。
転移しており、治療しても死は避けられない。つまり、「なおりますか?」ではなく、「どのくらい生きられますか?」を問う状態になったわけだ。
治療するなら、入院しなければならない。費用もかかるし、肉体的・精神的な負担もある。それだけの対価を払っても、完治することはない。
彼女は医者と相談し、治療を拒否した。
病院の5年より、自由気ままな1年を選んだわけだ。
彼女は会社を辞め、身辺を整理し、海外旅行して、高いワインを飲んで、1年後に亡くなったそうだ。
そういえば、松田優作の死因もガンだった。
治療に専念していたら、40歳の若さで死ぬことはなかっただろうが、『ブラックレイン』などの映画には出演できなかったかもしれない。
逆の例も紹介されていた。
1日でも長く生きるため、治療に堪えている人もいる。病院のベッドでもできることはあるし、明日には新しい治療法が発表されるかもしれない。
いま生きているのと同じように、「生」にすがることは無意味ではない。
◎
自分ならどうするだろう?
そう思って読んでいたら、養老孟司が答えていた。
ガンを宣告されたらどうするかなんて、考えても無意味です。
ガンを宣告された自分は、現在の自分とは異なる存在なので、現在の自分が期待したとおりにはならないでしょう。
……なるほど、そうかもしれない。
本を読みながら、そう思った。