裏窓 Rear Window

1954年 外国映画 5ツ星 サスペンス 犯罪

気がつけばそこに。

足を骨折したジェフは、退屈しのぎに裏窓から住人たちの生活を覗き見していた。その一室で、夫婦喧嘩をしていた妻が姿を消す。ジェフは殺人事件があったと直感。警察に通報するが、犯罪の証拠は見つからなかった。さて、どうする?

オープニング、部屋にあるものを写すだけで主人公の職業、気質、状態がわかる。うまい。住人たちの暮らしを一望できる窓。常識的にありえないけど魅力的。あるいは映画的。殺人が起こることはわかっていたが、決定的瞬間をふせられ、「たしかに見た」と言えなくなった。ヤキモキ。殺人者も被害者もそっちのけで、真実を明らかにしたくなり、どんどん踏み込んでいく。映画の世界にすっかり入り込んじゃってる。

恋人リザ(グレース・ケリー)の美しさ、線の細さ、芯の強さに舌を巻く。口論さえ愛おしい。と思っていたら、リザの危機を望遠鏡で見ることに。あの部屋はもっと遠く、自分たちと関わりないところにあったはずなのに。リザは唐突に飛び込んだわけじゃない。なぜ止めなかったのか? なぜ最悪の事態を想定しなかったのか? 手が届かないもどかしさ。主人公だけでなく、観客も油断していた。

そしてクライマックス。これまた当然の帰結なのに、またまた油断してた。安全なところにいると思いこんでいた。アクションも都合のいい救援もない。これが現実。

観客も、スクリーンの窓から事件を見ていた。事件を見ている主人公を見ていた。なんとなくカーテンを確認しちゃう。
やー、おもしろかった。

Rear Window Timelapse

裏窓から見えた情景をつなぎあわせたもの。映画だとわかりにくかった位置関係や距離感が明瞭になる。


Rear Window Timelapse from Jeff Desom on Vimeo.


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