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[レビュー2016年12月06日に発表された 

デッドライジング4 / DEAD RISING4 (PC)

DEAD RISING4

ぱっとしない4作目

『デッドライジング』(2006)の衝撃は大きかった。本来なら恐怖の対象となるゾンビの大群が、ただのフリーカメラマンに薙ぎ払われていくのだ。ふざけた武器に、凶悪なプロレス技。次々に粉砕されていくゾンビを見て、かわいそうとさえ思った。フランク・ウェストはゾンビを恐れない。人間だったものを破壊することに迷ったり、あるいは敬意を払うこともない。ゾンビはゾンビ。ただ蹴散らすのみ。
一方でフランクは、生きてる人間には親切だ。助けを呼ぶ声があれば、どこへだって駆けつける。ゲームの都合もあるが、独特の正義感があるように思える。さらに興味深いのは、サイコパスも容赦なく殺すところ。会話でき、ちょっとは共感できる背景があっても、襲ってくれば敵。敵は殺す。恐れない。迷わない。振り返らない。ゲーマーとしては当たり前だが、うまく説明できない現実的判断がある。フランク・ウェストは、デッドライジングの世界観を具現化するキャラクターだった。

あれから10年──。4作目の主人公はふたたびフランク・ウェストとなったわけだが、だいぶ魅力が失われていた。グラフィックはすごいし、ゾンビも大量に出てくるが、そのへんの衝撃は『3』で体験済み。ウィラメッテの街とメガプレックスモールの2つを行き来できて、かなり作り込まれているが、これも『1-3』の連結でしかない。豪華客船や遊園地、空港と言った、新しい舞台というわけじゃない。ゲームシステムはだいぶ改良されたが、やはり「整理された」のであって、「進化した」とはいえない。

「サイコパス」がなくなったのは残念でならない。いちおう「マニアック」という呼称で、正気を失った人間の敵対者が登場するけど、過去作のような特別な演出やムービーはなく、「しゃべるゾンビ」といった扱い。しかも本作には「しゃべるゾンビ」も登場する。にもかかわらず、「マニアック」との差は描かれない。知能があって、会話ができ、生前の記憶もあるようだが、「助けられるかも」とか「共存できるかも」といった選択肢はない。「しゃべるゾンビ」がいるなら、「マニアック」を出す意味はなかった。
『デッドライジング2 CASE:WEST』(2010)で理性を残したゾンビが登場した時、私は衝撃を受けた。それは人間の定義、生死の境界を揺るがす存在だからだ。しかしマリアンは『3』であっけなく退場、『4』でふたたび登場した理性あるゾンビが、マニアックと同じ扱いとは。泣けてくる。

最悪なのは、Vick。彼女は報道より正義を優先するが、フランクを平気で置き去りにした。そのくせ状況が変われば、しれっと弟子にもどる。フランクはVickを守るべき存在と認識しているようだが、彼女はすでにサイコパスだよ。Brad や Paula については語ることがない。なんの魅力もない。
『デッドライジング』にストーリーはいらんという人もいるだろうが、私は『1』と『2』のストーリーが好きだった。最後に主人公が助からないところも、死者を冒涜したカルマに足を取られたようで、印象的だった。『3』はハッピーエンドに拍子抜け。『4』は唐突なヒーロー行為に興ざめした。どうしてこうなったのか。

『デッドライジング3.5』だったら、まだ納得できたかもしれない。



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