マイノリティの憂鬱

2006年 娯楽 カメラ
マイノリティの憂鬱

カメラブームらしい。

カメラ付き携帯やコンパクトカメラが普及して、カメラ趣味に目覚める人が増えてきたわけだ。「すそ野が広がった」という状況である。
ところが、昔からカメラを嗜んできた人たちは、この状況を複雑な思いで見ているらしい

もちろん、カメラ人口が増えたことはうれしい。
情報交換は活発になり、腕前を披露できる場も増えた。市場は活性化して、より高性能な機種が、より安価に手に入るようになった。世間の見る目も寛容になってきている。
「だが、マナーは悪くなった」と友人Yは嘆く。

立ち止まって撮影すんな!

撮影のために人の流れを止めるなんて言語道断。サッと出して、サッと撮影できるカメラに持ち替えてこい!

ローアングルで迫るな!

公衆の面前で盗撮すんな。そんなに近づいても、いい写真は撮れないぞ。局所をアップで撮りたいなら、望遠レンズを使え。

撮影対象を独占すな!

おまえの専属モデルじゃねぇんだ。コンパニオンの仕事を邪魔するな。みんなの迷惑になっていることに気づけ!

ルールを守れ!

撮影禁止のところでカメラを出すな! 静かなところで「ぴろり~ん♪」なんて音させるな! 常識はねぇのか?

「自分のことしか考えないヤツが多すぎる」と友人Yは憤慨する。

おかげで、コンパニオンの出番や露出が減ったイベントもある。イベントを楽しみにしていた古参にとっては悪夢のようだ。新参者は、たのむから場を荒らさないでくれ。

また、自分がそーゆー連中と同列に扱われるのも堪えられない。
なので、カメラを取り出すのをためらうときもある。

カメラ人口は増えたけど、仲間が増えたわけじゃない。
本当のカメラ好きは、依然としてマイノリティ(少数派)であるようだ。

......イタイ話だ。
まぁ、似たような話は、どの世界にもあるだろうけどね。