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[レビュー1975年09月14日に発表された 

刑事コロンボ (#32) 忘れられたスター

Columbo: Forgotten Lady

犯人さえ知らなかったこと

あらすじ

往年の大女優グレースは銀幕への復帰を意気込むが、夫ヘンリーに反対され、資金援助を断られる。思いつめたグレースはヘンリーに睡眠薬を飲ませて銃殺。自殺にみせかけ、自分は映画を見ていたと証言した。家にいた執事とメイドはなにも見ておらず、グレースの証言を追認する。

コロンボは、グレースが見ていた映画の上演時間が15分長かったことに気づく。フィルムが切れたことに気づかなかった=上映室にいなかった=夫を殺害していたと推理するが、証拠は見つからない。グレースに揺さぶりをかけるが、反応がおかしい。コロンボは、医者だったヘンリーの遺品から、グレースのカルテを見つける。

「刑事コロンボ」は倒叙ミステリーで、犯人は最初からわかっていたが、犯人さえ知らなかった事実に驚かされる。「なにかおかしい」と思うシーンがちらちら描かれるため、コロンボの推理はすんなり納得できる。うまい。

問題はその先だ。心神喪失者の犯罪は罪を問わないが、グレースの場合は当てはまるのか? いずれにせよ、もはやグレースに犯罪を犯した自覚はなく、罪を償う猶予もない。夫ヘンリーの愛情に気づくこともない。
コロンボはネッドに下駄を預けた。あるいはネッドの答えを予期していたのか。いずれにせよ、切ない事件であった。

真相

コロンボは、グレースの友人であり、名優のネッドに真相を告げる。ヘンリーがグレースの復帰に反対したのは、彼女が記憶を失う病気にかかっていたから。長くて数ヶ月のいのちだろう。すでにグレースは、自分が夫を殺したことさえ憶えていなかった。

話を聞いたネッドは、自分が犯人だと名乗り出る。悲しむグレース。コロンボはネッドを逮捕する。

「あんたの自白なんか、すぐひっくり返されますよ」
「2ヶ月は頑張ってみせるさ」

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