LUCY/ルーシー LUCY

2014年 外国映画 3ツ星 SF:新人類 ★妄想リメイク 超能力

いやいや、アリですよ

脳の覚醒度がアップすると、賢くなるんじゃなくて、進化するのがポイント。人間の脳にそこまでのポテンシャルがあるとは思えないし、ましてや麻薬で引き出せるはずがないから、この映画はルーシーは死ぬ瞬間に見た夢と解釈するほうが妥当だが、そのへんを突っ込むのは野暮だろう。麻薬や脳の覚醒度は舞台装置でしかない。「一日限定で極限まで進化する女性がいたら、なにをするか?」が、本作のテーマなのだ。

よくある《新人類もの》では、差別と戦ったり、子孫を残すことがテーマになるが、一日限定だから除外。次いで優先課題が、「伝えること」になるのは新しい。なにを、だれに、どうやって伝えるか? くだらない中国マフィアの暗躍が同時進行するのがシュール。ルーシーはみるみる人間性を失っていくが、それでも人間のために、人間がわかる形で伝えようとしてくれる。ルームメイトへのアドバイスにもルーシーの優しさが見受けられる。

スタートアップの魅力は強調しておきたい。ルーシーは十分に注意してたのに、中国マフィアに捕まって、麻薬の運び屋にされてしまう。電話通訳のよるヤリトリや、とりあえず食事するところなど、細かなところに説得力があり、センスが光る。さすがリュック・ベッソン。おもしろかった。

個人的に期待したラストを書き出してみる。

妄想リメイク:ラスト

ルーシーは概念的存在となって、消失した。ピエールが黒い煤を掻き分けると、裸のルーシーが見つかった。精密検査の結果、ルーシーはただの人間に戻っていた。しかも一日分の記憶が抜け落ちており、ガッカリするほど知能は低かった。メモリースティックは、ルーシーに恐怖した博士によって破壊されてしまった。博士は研究を再開し、世界はいつもの状態にもどった。

ルーシーはピエールに引き取られて結婚。やがてルーシーは女の子を出産する。ふとピエールが気づく。「超人ルーシーは博士がメモリースティックを破壊することを予測できなかったのか?」 後ろでルーシーがつぶやく。

「未来が楽しみね」

《おわり》

なんてのはどう?

リュック・ベッソン
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