親父の軌跡

2009年 哲学 デジタル 人と動物
親父の軌跡

おふくろに頼まれ、親父のハードディスクから「ファミリーの記録」を探し出した。

2007年4月に息を引き取るまで、親父は家族や自分のことを細かく記録していた。私や兄妹の誕生はもちろん、その成長記録、キャンプなどのイベント、引っ越し、友人との釣り、仕事の出張などなど。
たとえば生前、私が「親父とおふくろはどこで会ったの?」と訊ねると、印刷した冊子をぱらぱらめくって、「1966年08月19日、サロマ湖で」と答えるような人だった。

親父が亡くなり、ファミリーの記録は更新されなくなった。印刷した冊子も傷んできた。そこでおふくろがつづきを書こうと決意し、私が当該ファイルを探すことになったわけだ。

親父のハードディスク占有領域は大したことない。動画やゲームを扱っているわけじゃないからね。しかし、ファイル名の付け方が不統一で、コピーやゴミがいっぱいあるから、最新ファイルを見つけるのは大変だった。
ようやく見つけ出し、おふくろが編集できるようにコンバートする。そのとき、改めて親父の記録を読みふけった。まぁ、なんというか、しんみりするね。

記録は、親父が22歳のころから残っており、当時の行動や興味がよくわかる。私や兄妹が産まれると、身長や体重、足のサイズなどが毎年計測されていた。どうやら私は、1971年10月20日にはじめて歩いたらしい。
29歳で退職して、アンデス縦断登山隊に参加したこと、引っ越しと再就職、はじめてのマイカー購入、祖父母の逝去、犬を飼ったこと……。仕事のこともちょっと書いてあり、部署がなくなったとか、給料が減ったとか、順風満帆でなかったことが伺える。

40代半ばになると、子どもの記録はほとんどなくなり、趣味の記録が増えていく。このころ私はプー太郎で、昼も夜もない生活だったっけ。50代で病気に関する記述があらわれる。検査、入院、退院、検査……。そのあいまに、私が実家を訪れた日が記録されている。あいにく私は、その日のことを覚えていない。
55歳で早期退職。余命宣告されたあたりだ。ここから日本中を旅してまわるため、記録が細かくなる。シート最下段は、2006年7月の第7回入院で途切れている。その先は病室で書いていたらしい。

私が物心つく前から世界はあって、私がよそ見しているときも時間は流れている。

しっかりしなくちゃ!

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