犬を飼ってオンリーワン、猫を飼ってワンオブゼム
2014年 娯楽 人と動物猫は飼い主を識別してるんだろうか?
2010年の冬、実家が旅行するので留守番した。つまり猫の世話をしにいったわけだが、猫はいつもの飼い主がいないことも、見知らぬ私が食事を用意することも気にせず、のーびのび過ごしていた。
「ん? きみは新しい下僕かね? 早く食事にしてくれ」
と言わんばかりの態度。ふてぶてしい。
人間が猫を飼っているのではなく、猫を世話するために人間がいるような気持ちになった。
実際、実家の人たちは年々、猫に気遣うようになった。猫が寒くないよう、暑くないよう、怖がらないよう、退屈しないよう注意して、そのため人間の生活が犠牲になることもいとわない。
おかしい。まるで猫に調教されているようだ。
子どものころ、私は犬を飼っていた。犬は飼い主をきっちり識別し、忠義を尽くす。犬にとって飼い主はオンリーワンなのだ。だから飼い主も、自分にしかできない責務を果たそうとする。それが人間とペットの関係だと思っていた。
だが、猫はちがう。猫にとって飼い主はワンオブゼム。いくらでも替えがいる下僕の1人でしかない。それでいいのか? いいはずがない。
しかし考えようによっては、ワンオブゼムとして扱われることも喜びかもしれない。
とかく現代は個性が偏重されるが、人間はそれほど特別な存在になれない。猫の飼い主は、猫にぞんざいに扱われることで、自分が取るに足らない存在であることを再認識し、従属する喜びを見出すのかもしれない。追い詰められたSEが、「私は歯車になりたい」とつぶやくように。
ということを猫の飼い主に尋ねてみたが、
「いや、なにも考えてないです。
猫がいて、ぼくがいて、ハッピー、みたいな?」
とのこと。
猫の飼い主は、知能低下フィールドの影響を受けているのかもしれない。
※写真は実家のチャチャ。
※以前はこんなピンと身体を伸ばすことはなかった。
※イエネコは、ふつうの猫とは異なる生き物かもしれない。