レビュー  1985年07月03日  に発表された 

死霊のえじき
Day of the Dead

5ツ星

どっちを向いても絶望

ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ三部作最終章。いやぁ、おもしろかった。スケールは小さいけど、恐怖と絶望が詰まってる。

はじめは、正義を振りかざす女科学者(サラ)が危ないと思った。ヘリコプターの給油を夜にしようと言い出したときは、正気を疑った。ところが地下基地にもどると、軍人(ローズ大尉)の方が危ない。威嚇はエスカレートしていくから、どこで踏みとどまるか、どこで反撃するか、そればかり考えてしまった。
しかし最悪の存在は、その奧にいる科学者(ローガン博士)だった。人体を切り刻む研究にのめり込み、いまやるべきことを見失っている。そのくせ弁が立つから、糾弾されない。彼のせいで仲間たちが犠牲になったのなら、ローズ大尉の消耗も理解できる。

どっちを向いても駄目な連中ばかり。こんな状況に美女ひとりじゃ、サラの心労も大きかっただろう。しかし心の拠り所となる恋人ミゲルは、ゾンビたちを基地に招き入れるという凶行にでる。我が身をエサにするところは狂っているが、賢い。恐怖におびえる人間は、じつは狂っている人間よりマシだった。衝撃的な展開だった。

もう1つの注目は、ゾンビに自我をもたせたことだろう。博士に訓練されたゾンビは、博士に親愛の情を示し、ローズ大尉に発砲した。もしローズ大尉が返礼していたら、結末は変わっていたかもしれない。人間とゾンビ、あいまいな境界線。ロメロ監督はすごい。

この後、濫造されるゾンビ映画だけど、やっぱり本家はちがう。ゾンビ映画ファンなら必見と言われるのも納得できた。

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