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[レビュー2015年06月23日に発表された 

バットマン アーカム・ナイト / Batman: Arkham Knight (PS4)

Batman: Arkham Knight

ヒーローの終焉

あらすじ

ジョーカーの死から1年後──。バラバラだったヴィランたちは打倒バットマンの旗印に結束した。その頭目となったスケアクロウは、毒ガステロを予告。630万の市民は一斉避難し、ゴッサム・シティはヴィランたちが支配する無法地帯になった。
バットマンは新たなスーツとバットモービル、そしてサイドキック(協力者)の力を借りて立ち向かう。そこに「アーカム・ナイト」と名乗る人物が現れた。

毎度毎度グラフィックの向上に驚いているが、今回もまた驚いた。人物の表情、雨に濡れたマントや金属などの細かな部分から、「アーカム・シティ」の5倍広く、5倍高精細になったマップまで、賞賛したいところは無数にある。引き換えに要求スペックは図抜けて高く、フリーズやバグなどのエラーが多発したことは残念でならない。べらぼうなクオリティより、ちゃんと機能することが重要だからね。

そして本作は吹き替えがついた。シリーズ最終作だけ吹き替えって、どういうことだよ。吹き替えに違和感はなく、なにより字幕を読まずに済むのはありがたい。ザコのおしゃべりを聞きながらスニーキングとか、吹き替えでないと楽しめない。

システムも細かく改良され、快適に戦えるようになった。そのせいか、印象的なボス戦もなかった。ボスもザコも同じように倒して、先に進むだけ。本作も「バットマン」シリーズのヴィランが多数登場するが、登場することに意義があるような扱いだった。あれこれ工夫するボス戦をデザインするのは大変だが、町を広さを半分にしても注力すべきところだろう。
『アーカム・シティ』で感動したグライドは、あっさり進化した。かつてないほど高く、長く、飛んでいられる。ここが頂点と思っても、さらに上がある。スタッフの情熱を感じる。

そして本作の目玉はバットモービル。街灯や外壁をガリガリ削りながら失踪する。車輪がぐりぐり動いて、あらゆる方向に移動。戦車モードへの変形。目的地までの経路や、敵の砲撃予測がHUDに表示される。かぁっこいい。ノーラン監督の『ダークナイト』シリーズのバットモービルが最高と思っていたが、これまた上をいかれた。
しかしバットモービルを使ったイベントが、チト多すぎる。とりわけリドルのクエストは数が多く、難易度が高く、面倒くさい。バットモービルかっこいいけど、ここまで前面に押し出さなくてもいいのに。

マニア向けのストーリー

本作にはノーマル・エンドとトゥルー・エンドがある。ノーマル・エンドの後味が悪いため、トゥルー・エンドへの期待感が高まるが、ムービーを見るためにはサイドクエスト100%&リドル100%を達成しなければならない。ハードルが高すぎて、多くのプレイヤーがあきらめたことだろう。『アサイラム』から6年間、4本のシリーズを追いかけてきた購入者に、この仕打ちはひどい。
私はYouTubeでトゥルー・エンドを見たが、それだけ苦労をしたプレイヤーに報いるものではなかった。つまり、どう転んでもハッピーエンドにならないわけで、ゲームファンとしては納得しがたい結末だ。しかしバットマンのファンであれば、この結末を受け入れられるかもしれない。

バットマンはヴィランを殺さない。だからヴィランは何度もゴッサムシティに戻って、悪事を繰り返した。果てしない戦いだが、ブルース・ウェインが人間である以上、どうしたって限界はある。本作では、スケアクロウが正体を暴いた。これでバットマンを無力化できると思われたが、バットマンはブルース・ウェインであることを捨ててしまった。正体を失ったバットマンは、正義のモンスターになるだろう。もはや弱点はない。ヴィランたちは絶望するだろう。
振り返るとヴィランたちは、バットマンに依存していた。バットマンがいたから結束し、ヴィランとして存在できた。バットマンがいなくなれば、無秩序に殺し合う動物となる。その関係を維持するため、あまりバットマンを追い詰めるべきではなかった。

そう考えると、まさしく本作はバットマンの終焉だ。明日から新たなヒーローが誕生するだろうが、それはもうバットマンではない。ヒーローかどうかも定かじゃない。
だれがこんな結末を喜ぶだろう?
しかしトゥルー・エンドに到達するのは一部の限られたマニアのみ。マニアなら、バットマンの終焉についても考えただろうから、受け入れられるのかもしれない。そもそも『アサイラム』シリーズはマニア向けに制作されたのだから、にわかファンのため、ハッピーエンド(バットマンの戦いは続く)を作ってやるつもりなど、最初からなかったのだろう。

だから文句を言ってもはじまらないが、うーん、あんまりといえばあんまりだ。



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