迷路荘の惨劇 (全3回) / 古谷一行 横溝正史シリーズII #9 The Tragedy of MaZee Inn | Meiro-so no sangeki
1978年 日本ドラマ 2ツ星 #金田一耕助入り組んだ仕掛けと人間関係
あらすじ
名琅荘(めいろうそう)は、明治時代に古舘種人(ふるたてたねんど)伯爵が建てた別荘だが、屋敷のあちこちに仕掛けが施されていることから、地元では「迷路荘」と呼ばれていた。
昭和5年。種人伯爵の息子である一人(かずんど)は、事業の失敗から財産をほとんど失っていた。猜疑心の強い一人は、後妻の加奈子が静馬(加奈子の親戚)と浮気していると考え、ふたりを斬りつけるが、逆に静馬に殺される。静馬は左腕を切り落とされたまま逃走し、行方不明となった。
昭和25年。一人伯爵の息子・辰人(たつんど)は、終戦によって身分を失っていた。迷路荘と美しい妻・倭文子(しずこ)は、富豪の篠崎慎吾に取り上げられた。ある日、ホテルに改装された迷路荘に、左腕がない男が宿泊し、忽然と姿を消した。女中・タマ子や種人の妾であったお糸は、静間が還ってきたと戦慄する。篠崎慎吾は金田一耕助に事件の調査を依頼する。
江戸川乱歩のような冒険活劇と思っていたが、三代にわたる恩讐うずまく、まがうことなき横溝作品だった。一人と辰人、加奈子と倭文子がこんがらがって、状況を理解するのに手間取った。枝葉を取り除くと、それほど複雑怪奇ではない。200年にわたる古舘村の因縁など本筋に関係しないエピソードは省いてほしいが、テレビドラマだから難しいのかな。
物語の中心にいるのは倭文子。辰人は、倭文子を使って篠崎の財産を手に入れようとするが、倭文子は篠崎を本気で愛してしまう。また密会の現場を天坊邦武に撮影されたことで、計画が狂いはじめる。倭文子のポジションは運命に翻弄される美女だが、男たちの運命を弄ぶ魔性の魅力はない。
むしろ、お糸さん(千石規子)の方が恐ろしい。やさしく、昔話を語るような口調で、殺人を告白するのは圧巻。金田一は警察じゃないので、お糸さんの罪は見逃すが、下手したら毒殺されたかもしれないわけで、危ない対決だった。
ラスト、日和警部は金田一に、「あんたとはまたどこかで会いそうじゃ」と言い出す。なんだろうと思ったら、ここがテレビドラマ第2期(横溝正史シリーズII)の最終回だった。なるほどね。
金田一耕助 | |
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石坂浩二 | |
渥美清 |
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古谷一行 |
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鹿賀丈史 |
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豊川悦司 |
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上川隆也 | |
稲垣吾郎 |
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