[レビュー1978年10月14日に発表された 

迷路荘の惨劇 (全3回) / 古谷一行 横溝正史シリーズII #9 The Tragedy of MaZee Inn | Meiro-so no sangeki

#金田一耕助
更新日:2017年04月10日(月) 22:58 [Edit]

入り組んだ仕掛けと人間関係

あらすじ

名琅荘(めいろうそう)は、明治時代に古舘種人(ふるたてたねんど)伯爵が建てた別荘だが、屋敷のあちこちに仕掛けが施されていることから、地元では「迷路荘」と呼ばれていた。
昭和5年。種人伯爵の息子である一人(かずんど)は、事業の失敗から財産をほとんど失っていた。猜疑心の強い一人は、後妻の加奈子が静馬(加奈子の親戚)と浮気していると考え、ふたりを斬りつけるが、逆に静馬に殺される。静馬は左腕を切り落とされたまま逃走し、行方不明となった。
昭和25年。一人伯爵の息子・辰人(たつんど)は、終戦によって身分を失っていた。迷路荘と美しい妻・倭文子(しずこ)は、富豪の篠崎慎吾に取り上げられた。ある日、ホテルに改装された迷路荘に、左腕がない男が宿泊し、忽然と姿を消した。女中・タマ子や種人の妾であったお糸は、静間が還ってきたと戦慄する。篠崎慎吾は金田一耕助に事件の調査を依頼する。

江戸川乱歩のような冒険活劇と思っていたが、三代にわたる恩讐うずまく、まがうことなき横溝作品だった。一人と辰人、加奈子と倭文子がこんがらがって、状況を理解するのに手間取った。枝葉を取り除くと、それほど複雑怪奇ではない。200年にわたる古舘村の因縁など本筋に関係しないエピソードは省いてほしいが、テレビドラマだから難しいのかな。

物語の中心にいるのは倭文子。辰人は、倭文子を使って篠崎の財産を手に入れようとするが、倭文子は篠崎を本気で愛してしまう。また密会の現場を天坊邦武に撮影されたことで、計画が狂いはじめる。倭文子のポジションは運命に翻弄される美女だが、男たちの運命を弄ぶ魔性の魅力はない。
むしろ、お糸さん(千石規子)の方が恐ろしい。やさしく、昔話を語るような口調で、殺人を告白するのは圧巻。金田一は警察じゃないので、お糸さんの罪は見逃すが、下手したら毒殺されたかもしれないわけで、危ない対決だった。

ラスト、日和警部は金田一に、「あんたとはまたどこかで会いそうじゃ」と言い出す。なんだろうと思ったら、ここがテレビドラマ第2期(横溝正史シリーズII)の最終回だった。なるほどね。

金田一耕助
石坂浩二
渥美清
古谷一行
  • 名探偵・金田一耕助シリーズ
  • 1.本陣殺人事件(1983)
  • 2.ミイラの花嫁(1983)
  • 3.獄門岩の首(1984)
  • 4.霧の山荘(1985)
  • 5.死仮面(1986)
  • 6.香水心中(1987)
  • 7.不死蝶(1988)
  • 8.殺人鬼(1988)
  • 9.死神の矢(1989)
  • 10.薔薇王(1989)
  • 11.悪魔の手毬唄(1990)
  • 12.魔女の旋律(1991)
  • 13.八つ墓村(1991)
  • 14.悪魔が来りて笛を吹く(1992)
  • 15.女怪(1992)
  • 16.病院坂の首縊りの家(1992)
  • 17.三つ首塔(1993)
  • 18.迷路の花嫁(1993)
  • 19.女王蜂(1994)
  • 20.悪魔の唇(1994)
  • 21.悪魔の花嫁(1994)
  • 22.呪われた湖(1996)
  • 23.黒い羽根の呪い(1996)
  • 24.幽霊座(1997)
  • 25.獄門島
  • 26.悪魔の仮面(1998)
  • 27.悪霊島
  • 28.トランプ台上の首(2000)
  • 29.水神村伝説殺人事件(2002)
  • 30.人面瘡(2003)
  • 31.白蝋の死美人(2004)
  • 32.神隠し真珠郎(2005)
鹿賀丈史
豊川悦司
上川隆也
稲垣吾郎

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