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[レビュー1969年12月18日に発表された 

007(06) 女王陛下の007

007 On Her Majesty's Secret Service

「世界はふたりだけのものなんだ」

あらすじ

ボンドはトレーシーという女性と知り合い、興味を抱く。彼女は犯罪組織のボスであるドラコの一人娘だったが、ドラゴはボンドに娘を託そうとする。ボンドはドラゴからブロフェルドの情報を得ようとするが、いつしかトレーシーを本心から愛するようになる。
ボンドはブロフェルドがアルプスのアレルギーの研究所に潜んでいること、催眠術をかけた女性をつかって世界中に殺人ウイルスをばらまこうとしていることを突き止める。正体がばれたボンドは脱出するが、トレーシーが囚われてしまった。英国政府はブロフェルドに屈したが、ボンドはドラコの協力を得て研究所を急襲、野望を打ち砕き、トレーシーを救出する。
ボンドはトレーシーと結婚するが、ブロフェルドの刺客によってトレーシーは殺されてしまう。

ジョージ・レーゼンビー、唯一の主演作。予告編にあるとおり「今回のボンドは一味違う」「人間味あふれるボンド」であり、そのため「らしくない」と批判されることも多いが、私はアリだと思う。キャラクターとしてのボンドは冷酷非情で、女性を性のはけ口か、仕事の道具としか見ないが、本気で愛することがあってもいい。本作以降、007シリーズはシリアスからコメディ路線に転落し、シリアス路線の復活は37年後の「カジノ・ロワイヤル」まで待たねばならない。

ボンドガールのトレーシーも魅力的に描かれている。アクションもできるし、行動力がある。それでいて「お姫様」として囚われるところもうまい。
ついでに、本作のブロフェルドも一味違う。闇の中でネコを撫で回すのではなく、スキーやボブスレーでボンドと対決するし、危機一髪で逃げ延びる。じつに行動的かつ人間的だ。

アクションも迫力がある。カーチェイスもいいが、やはりスキーとボブスレーの逃避行は印象に残る。雪崩も強烈。あれは撮影のために人工的に雪崩を起こしたんだろうか? 逆に殴り合いのシーンはカット割りが不自然で萎える。
例によってストーリーを追うのは難しい。気まぐれなボンドもいいが、ちゃんと目標を定めて動いてほしいが、難しいのかな。

そしてラストが鮮烈。本気の愛と、本気の憎しみが、ボンドを人間にしたと思う。


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