レビュー  2015年10月14日  に発表された 

相棒 season14 (全20話)
Aibou Season14

2ツ星

どうにも弱い

『相棒13』ラストで無期限停職処分となった右京が、いかにして復帰するか? もちろん復帰することはわかっている。どんな筋書きで復帰させるかに興味があった。たとえば重大事件が発生し、犯人が交渉役として右京を指名。やむを得ず現場に連れてきた。犯人が言い残した不気味な予言のため、やむなく職務復帰させる。そんなところだろうと思っていたが、蓋を開けてみればなんのことはな。そんなドラマを期待する人はいなかったわけだ。

新相棒として冠城が登場する。役者の雰囲気はいいが、「お客様」という立場だから、いちいち角が立つ。最終回で退路が断たれるが、それでも犯罪捜査に本気になったとは思えない。右京の評価も不明。あんまり幸先のいいスタートじゃないね。

各エピソードに目を向けると、プロットはおもしろいが、余計な味付けで台無しになったものが多い。なにより、推理らしい推理がない。右京はマシーンのように推理して、マシーンのように逮捕する。冠城はそれをおもしろがるだけ。亀山のように反発したり、神戸のように恐れたり、甲斐のように屈折するわけでもない。なんだかなー。

01. フランケンシュタインの告白

刑務所で教祖となった男は殺されたのか? ... 教務所で覚醒したカリスマという設定がおもしろかったので、犯罪の詳細が見えてくるとがっかりした。住職の自殺強要も蛇足な印象。タイトルから察するにフランケンシュタインは住職のことだと思うが、彼の苦悩はさっぱり伝わらなかった。2時間9分スペシャルという尺が長すぎたのだ。

02. 或る相棒の死

冠城が右京を試す ... おもしろかったが、終わってから振り返ると冠城のやり方に反感を覚える。右京を試す理由が乏しいせいだろう。キャラクターとしては印象的だが、立ち位置が役人っぽくて引っかかるものがある。

03. 死に神

複数の相手を自殺に追い込む男 ... 外出すると事件に出くわす導入部はいいが、すぐ失速。しかし最後に明かされる狂気は、あっさり流すには惜しいプロットだった。

04. ファンタスマゴリ

政財界の黒幕も老いてはこんなもん ... 右京との確執は後付け設定で萎える。犯行の動機もしょぼくて、耄碌したんだなぁとしか思えない。右京の旧友である金融コンサルタントを主軸に据えて、「衰え」をテーマにした方がよかったのでは?

05. 2045

人工知能の推理は正しいか? ... S11E08「棋風」の将棋プログラム、S10E19「罪と罰」のクローンなど、SF要素は合わないね。

06. はつ恋

犯罪によって結ばれた初恋と、その末路。 ... 現在と過去が交錯する展開はいいね。男がずっと純情で、女が新しい恋を選ぶ構図は普遍的な魅力がある。

07. キモノ綺譚

副人格(姉)が主人格(妹)に愚痴を言う。 ... 事件性がないため、警察が介入するのは横暴な気がする。妹の犯罪を姉が告発するとか、止めようとするといった切り口がほしかった。

08. 最終回の奇跡

犯行と漫画に見立てる理由は? ... 漫画家が美女で、状況にまったく動じないのは不自然だった。漫画家と芸術家を混同した描写にも違和感がある。

09. 秘密の家

被害にあった人たちが口を閉ざす ... 相変わらず導入が強引。さらに犯人が小物でがっかり。右京の罠も警察官としては問題があるため、だれにも共感できなかった。警備会社社長がじつは娘の夫を受け入れていたことは衝撃的だが、右京の説教でテンションが下がる。秘密を伏せたほうが幸福になれるかどうかは、より強調すべきテーマだった。

10.英雄 罪深き者たち

テロリストたちの、余計なお世話。 ... 2時間30分の正月スペシャルだが、事件はしょぼい。そんなに若者たちが心配なら、テロに巻き込むなよ。殺害が目的なのに、爆弾を仕掛け、船をジャックするのは不可解。テロリストに道理と人情があって、政府が高圧的という構図には、テレビ局の思想的な偏りを感じる。

11.共演者

本心を隠す女優たち。 ... 二人三脚の姉妹に怨みが、いがみ合う女優たちに共感があったのはおもしろい。しかし若い女優が娘をダシにしたことで、真実性が失われる。女優たちは犯罪に手を染めず(付き人やファンを犠牲にして)、真実を秘めたまま共演するほうがよかった。

12.陣川という名の犬

失意の陣川が犯した罪。 ... 恒例の陣川エピソードだが、今シーズンは救いがなくて萎えた。陣川が犯人に振るった暴力も、犯人の下劣さを考えると瑣末なことに思える。シリアルキラーの良心という切り口はおもしろかった。魔が差して人を殺すこともあれば、その逆もあるということか。

13.伊丹刑事の失職

自殺として処理された案件をなぜ掘り返す? ... 犯人の行動が不可解すぎる。詐欺師と直接会って、なにをするつもりだったのか? 警察の注意を向けるにしても手間が掛かりすぎる。ジャーナリストの正義というより、幼稚なだけに思える。伊丹刑事の失敗疑惑からスタートして、やっぱり失敗だったというオチも拍子抜け。

14.スポットライト

チャンスは金より価値がある。 ... つまらなかった。底の浅い事件にストレートな謎解き、そして垢抜けない芸人のしゃべりを聞かされるのは苦痛だった。鈍そうに見えた目撃者が推理を披露するのはおもしろかったが、入れ知恵じゃ価値がない。芸人コンビの才能や未来に希望が見えなかった。

15.警察嫌い

いかにして協力させるか? ... 本人の意志にかかわらず面通しさせるトリックはおもしろかった。警察嫌いになった理由を問わない姿勢もよい。暴力団組長の存在はよけいだが、冠城のスタンスを炙り出すにはちょうどよかったかも。つまるところ冠城は見学者であって、事件捜査になんら熱意はない。そろそろ右京のコメントが欲しいところだったが、なにを話したかは明かされず。それじゃ、なんのためのエピソードだったのか。

16.右京の同級生

善人の犯罪 ... つまらない事件だが、それ以上にドラマが駄目だった。せっかく同級生を出したのに、右京の人格形成は描かれない。善人たちの犯罪を描きながら、右京のスタンスはいつもと変わらず。外国人労働者を善と決めつけたり、健康保険がないまま診療を続けられる不自然さなど、脚本も粗くて、浅かった。

17.物理学者と猫

復讐すべきか否か? ... 堀井教授の妄想に、知らないはずの杉下の能力や性格が反映されているのは不可解。そもそも右京と会話する前から妄想がはじまっていて、わけがわからない。最後にオカルトに逃げたのも稚拙。

18.神隠しの山 19.神隠しの山の始末

なぜ救けた? ... 前後編で、山岳が舞台で、右京と冠城が別行動。おもしろくなりそうな気がしたが、真相に拍子抜けした。失踪をでっち上げておきながら、テレビ局を招くのはリスクが大きい。生きていることにして、弟子の作品を発表するほうが村のためになったはず。強盗の話より、なにもできない陶芸家と共生する村長や弟子がおもしろかった。それにつけても冠城の動きがにぶい。無能は許せるが、薄情はどうしようもない。

20.ラストケース

支離滅裂 ... 要約すると、テロに無防備な日本人の意識を変えるためにテロを起こしたわけだが、その手口はあまりに稚拙。副総理、農林水産大臣、公安調査官、警察官が共謀したとは思えない。がっかり。米山の卒業と、日下部の配慮だけおもしろかった。


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