ピクサー・ショート・フィルム Pixar Short Films
2008年 外国映画 4ツ星 ファンタジー:童話 短編映画 @ディズニー:ピクサーピクサーが熟成していく課程を楽しめる
1984年から2006年までに発表されたピクサーの短編アニメーション13本のセット。初期の作品はストーリーより技術試験といった印象が強いが、だんだん練り込まれていって、ストーリーを楽しめるようになっていく。表現力が豊かになっていく過程を、ショートムービーで確認できるのはおもしろい。
- アンドレとウォーリーB の冒険 - The Adventures Of Andre And Wally B (1984)
モデリングが簡単で、すごい初期の作品だとわかる。時間も短く、おもしろみはない。
- ルクソーJr - Luxo Jr (1986)
ロゴマークになったスタンドが登場。顔がないので、いい感じ。ストーリー性は希薄。
- レッズ・ドリーム - Reds Dream (1987)
ピエロはやや不気味。一輪車の方がかわいい。サドルとペダルで感情を表現したのは見事。ラストは物寂しい。
- ティン・トイ - Tin Toy (1988)
トイ・ストーリーで実証済みだが、3Dとおもちゃの相性はいい。しかし赤ん坊は不気味すぎる。
- ニックナック - Knick Knack (1989)
ついにロゴが! ここがトイ・ストーリーの6年前。モデリングはまだ単純だが、監督のやりたいことが見えてきた。
- ゲーリーじいさんのチェス - Geris Game (1997)
台詞なしで見事な演出。表情も豊かになって、いい感じ。しかも、おもしろい。
- フォー・ザ・バーズ - For The Birds (2000)
質感が向上したが、内容はいまいち。
- マイクとサリーの新車でGO! - Mikes New Car (2002)
『モンスターズ・インク』より。サリーが小さく見える。映画のダイナミックさを思うと、じつに物足りない。
- バウンディン - Boundin (2003)
毛を刈られた羊が異星人のようだ。表現力は格段に進歩したが、これ以上のリアルさは好ましくないかも。ストーリーはシュールで、小気味いいが、楽しいと言えるほどじゃない。
- ジャック・ジャック・アタック! - Jack-Jack Attack (2005)
『Mr.インクレディブル』より。ベビーシッターの表情が驚くほど豊かで、魅せられる。歯の矯正具など、妙なところでリアルというか、あえて、かわいらしさを抑える演出がいい。
- ワン・マン・バンド - One Man Band (2005)
十分に技術がこなれてきた。ストーリー性もあり、やるせない楽しみがある。ラストは予想外。
- メーターと恐怖の火の玉 - Mater And The Ghostlight (2006)
『カーズ』より。映画の一部を抜き出したような。写り込みや蛍光灯の灯りは猛烈にリアルだが、おもしろみはない。
- リフテッド - Lifted (2006)
おもしろい! 最初から最後まで、文句なく楽しめる。CGであることを意識させない表現力。CG映画もここまで来たか!!
13本を連続してみたとき、私は1つの映像表現が生まれた時代に居合わせたことを実感した。おもしろかった。