ピクサーの舞台裏 (全20回) Inside Pixar

2020年 外国映画 3ツ星 ドキュメンタリー @ピクサー

いい会社ではあるが、先行きへの不安も。

ピクサー社のドキュメンタリー。「ひらめき」「人物」はスタッフに、「出発点」「分析」は映像制作に焦点を当てている。本作の見どころはアーティスト以外のスタッフ紹介「人物」だろう。

音楽編集者 - 作品に残らないセンス

個人的に、音楽編集者が胸に響いた。映画を作るため必要だけど、本番では差し替えられてしまう。自分は作曲家ではないと言う。あえて、そのように語るところに彼の複雑な思いを感じてしまう。

脚本管理 - 物語にジェンダーバランスは必要?

脚本管理は悪い意味で気になった。映画に登場するキャラクターの男女比を現代に合わせるというのだが、なんの意味があるだろう? スパイ映画に登場する職業は、世間一般の平均から外れている。物語は物語。現実に合わせる必要はない。これを「正しい試み」として紹介するところに不安を感じた。

より個人的なことを語る方が、より普遍的になる?

これも引っかかったフレーズ。そもそも作家は個人的なことを語るもの。大事なのは、その表現方法。たとえば人種差別に反対する気持ちをスペースオペラで語るセンスが素晴らしいのであって、人種差別にあった体験をそのまま描いてどうする。ドキュメンタリーと物語はちがう。ありのままを肯定する気持ちが強い。このあたりもピクサーの将来に不安を感じた。

私はピクサー作品のファンだし、いい会社だと思う。詳しいことは知らないが、ラセターが去ってからの作品は精彩を欠いているように感じる。その原因は、やはり世代交代なんだろうか。

  1. ひらめき:ケンプ・パワーズ リアルな脚本 (13分) ... アフリカ系は理髪店。
  2. ひらめき:ディアナ・マルシリエゼ 視点を変える (14分) ... 観察すれば散歩も取材。
  3. ひらめき:スティーヴン・ハンター 幼少期の自分に捧げる (12分) ... ゲイの自分を認める。
  4. ひらめき:ジェシカ・ハイト セリフに隠されたヒント (14分) ... 脚本管理からジェンダーバランス。
  5. ひらめき:ダン・スキャンロン アイデアが生まれる場所 (16分) ... 死んだ父と話したい。
  6. 人物:シンシア・ラスク 国際版制作ディレクター (14分) ... 他言語版を作る。ニュートラル(非言語表示)が理想。
  7. 人物:メアリールー・ジェイソ パティシエ (12分) ... クリエイターを刺激する料理。
  8. 人物:ラシェル・フェデリコ 制作アシスタント (13分) ... あらゆる職種で応募した。
  9. 人物:バーニー・ジョーンズ 音楽編集者 (15分) ... ★最後には差し替えられる。
  10. 人物:パティ・ボンフィリオ 設備管理統括 (14分) ... 12年に1度替える特別な電球。
  11. 出発点:映画作りのレシピ (12分) ... 映画製作の初期工程。
  12. 出発点:キャラクター作り (13分) ... キャラクターを作る。
  13. 出発点:レンズを通して (13分) ... カメラワークの工夫。
  14. 出発点:アニメーションと演技 (14分) ... ポーズ、演技、芝居。
  15. 出発点:色と光と感情と (12分) ... 色は光。
  16. 分析:時間 (13分) ... 時間経過、時代背景を示す演出。
  17. 分析:愛される悪役 (12分) ... シド、ロッツォは敵か? 善悪人。
  18. 分析:目を細めて (12分) ... デフォルメにこだわる。動き。誇張。
  19. 分析:心のドライブ (12分) ... 乗り物が象徴するもの。
  20. 分析:脇役なんていない (10分) ... 群衆を効率よく動かす。

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