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[レビュー2005年12月02日に発表された 

ゾンビの帰郷(ジョー・ダンテ) / マスターズ・オブ・ホラー (S1-06)

Homecoming / Masters of Horror

「考えてるみたいだろ?」

あらすじ

大統領選挙を間近にひかえたアメリカ合衆国で、戦死した兵隊が次々にゾンビとして復活した。兵隊ゾンビは人を襲ったり、感染しない。感覚や理性も残っているようだ。手足をちぎっても死なないが、投票すると死体にもどる。
現職大統領のスタッフは兵隊ゾンビをプロパガンダに利用しようとしたが、彼らは戦争反対を主張していた。

13人のホラー映画の巨匠による共同プロジェクト『マスターズ・オブ・ホラー』の6本目。
「死人に口なし」ならぬ「主張する死人」を描いたホラーコメディ。兵隊ゾンビは死の定義を揺るがすが、彼らの命運を決めるのは政治家だった。戦場と投票所で二度殺された彼らが援軍を呼ぶ展開はおもしろかった。
兵隊ゾンビをやさしく迎える黒人家族が印象的。我が子を兵隊として送り込んだ家族が、必ずしも戦争に反対しているわけじゃない。兵隊を非難しない。バランスのとれたシーンだった。

冒頭、主人公は視聴者を納得させるため、考えているフリをすることが大切だと話す。考えているように見えても、実際は考えてない。かなり哲学的なテーマだ。
兵隊ゾンビたちは判で押したように戦争反対を唱える。意義ある戦争だったと証言してくれる兵隊はいないのか? いても復活してないのか? 死ぬと必ず悔やむのか? じつは兵隊ゾンビは考えているフリをしてるだけじゃないか? それを言ったら生者も似たり寄ったりだ。更迭された主人公が反対陣営に雇われ、戦争反対を訴えだしたらおもしろい。
ベトナム戦争で死んだことになっている兄貴なんてどうでもいい。死者より考えない生者を描いてほしかった。


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