あなたの知らない怖い話 劇場版 Anata no Shiranai Kowai-Hanashi The Movie

2ツ星

貞子っぽいなにか

あらすじ

大学で犯罪心理学を学んでいる琴美は、空き巣に母親を殺された過去を負っていた。ある日、教授の娘ヒカリから、呪いの力を身につけられる動画のことを教わる。そのころ、町でが不可解な自殺が多発していた。ヒカリは自分の復讐のために動画を探していたが、呪いの力を身につけたのは琴美だった。

『あなたの知らない世界』ではなく『あなたの知らない怖い話』の劇場版。まぎらわしいタイトルが多くて困る。まぁ、困ることもないけど。しかもオムニバスじゃなく、長編のＢ級ホラーだった。

怨霊みずから災いを振り撒くのではなく、「呪いの力」を授けるという設定はおもしろい。拳銃で撃ったやつが悪いのか、拳銃をわたしたやつが悪いのか？　しかし是非を論じる間もなく終わってしまった。「呪いの力」のルールがはっきりしない。動画を見て「呪いの力」を授かるというのは強引だし、授かる人の条件もわからない。「力を求めている人が授かる」とか「力を行使できる覚悟がある人が授かる」という設定なら、ヒカリは自分を責めるし、琴美は内心に恐怖するだろう。また、いのちを対価にして呪うなら、「それでもやるか？」という問いが発生するはず。意図せず使ってしまった人はべつにして、ただの犠牲者として描かれるのは物足りない。

琴美は強盗殺人の犯人を恨んでいなかったのか？　それは葛藤の末に行き着いた境地なのか、よく考えてなかったのか？　右往左往するばかりじゃなく、自分自身と向き合ってほしかった。まだヒカリの方が好感を持てる。そういえば町長はどうなった？　政治家が呪いの力を使ったらどうなるんだろう？　そのへんも興味深かったのに。

怨霊が具現化した「長い黒髪の女性」も、貞子そっくりで弱かった。もう貞子系のビジュアルは飽きた。新しい怪物を創造して、新しいシリーズをはじめてほしかった。