本当は聞きたくない!山の怖い話 その一 Hontouhakikitakunai! Yamanokowaihanashi 1

2011年 日本映画 2ツ星 ★妄想リメイク ホラー:ショート 幽霊

結末がない

「その一」と題するくらいだから、シリーズ化を前提にしているのだろう。山にまつわる怪談は多いし、山で撮影された怪談も少ないから、コンセプトは悪くない。しかし第一弾としては弱かった。

脚本が手抜きだ。経験談ならオチがないのも無理ないが、ドラマにすると物足りない。「怪奇現象の真相を暴け」とは言わないが、せめて登場人物の末路くらいは描いてほしい。「あれは、◯×だったのでしょうか?」とモノローグを添えるだけでも印象が変わる。ぶつ切れで終わると、「モヤモヤした後味の悪さ」より、「フィルムが切れたのかな?」と思ってしまう。

各エピソードを自分なりに脚色してみた。

ハイキング

主人公は中年女性。山歩きが趣味の亭主が「コスモス畑を見せたい」と言うので、ついてきた。不慣れなため、足がふらつく。亭主は機嫌がよく、いろいろ世話してくれた。「山で人とあったら必ず挨拶すること。でないと人かどうかわからないからね」と亭主が言う。
コスモス畑への道は封鎖されていた。しかし亭主は、このくらい大丈夫と進んでしまう。ついていく妻。やがて一本道の向こうから、白い服を着た女性がやってくる。妻は挨拶するが、返事をしない。夫も挨拶しなかった。不審に思っていると、ふたたび同じ女性が前方からやってきた。また挨拶するが、返事がない。夫が「だれもいないのに挨拶するな」と言う。夫には見えてないようだ。そして3回目。妻は怖くなり、目を伏せて、立ち止まる。すると女性は妻の前に立って、なにかを囁いた。その途端、妻は一目散に走りだした。
後日、コスモス畑で女性の遺体が発見される。テレビの取材によると、コスモス畑は足場が悪いため、事故か自殺か、あるいは他殺か、区別がつかないという。あのとき女性は、こう言った。
「逃げて。あなたも殺される」
妻には多額の保険金がかけられていた。亭主は「また山に行かないか?」と言うが、もう絶対に行けない。半年後、夫婦は離婚した。

トンネル

主人公は若い女性(A子)。高校時代からの友人、B男、C男と3人で夜の山をドライブしていた。あちこちの展望台を巡る中、A子はD美の影を見る。D美は仲間たちの華だったが、一年前に事故死していた。その後、A子はB男と急接近し、結婚することに。A子はそのことに罪悪感を抱き、鈍感で無害なC男に相談した。C男は、B男がD美と別れたがっていたことを教える。
その後も霊現象はつづき、A子は半狂乱になる。C男は、「A子がD美を殺し、その怨みで霊に追われているのではないか」と疑う。B男は「ありえない」と否定する。
トンネルの中で車が立ち往生して、恐怖体験がはじまる。A子は「私じゃない」と叫び、B男は「ちゃんと死ね」と叫び、C男は「おれは関係ない」と叫ぶ。朝、何ごともなく帰ってくるが、もう3人で会うことはなくなった。

サバイバルゲーム

主人公はサバイバルゲームに興じる男性。今日は仲間たちと、立入禁止の区画でゲームすることになった。旧日本軍の遺構があるとかないとかで盛り上がる。メンバーの数名が「命中しても戦線を離脱しないやつがいる」と文句を言う。
暗くなって最後のゲーム。主人公がスコープを覗くと、敵チームの背後に見知らぬ男がいた。異様さに気づき、声をかけるが気づかない。背後の男を狙撃すると、敵チームのメンバーに命中。運悪く目に入り、救急車で運ばれることに。
「こういう事故があるから立入禁止なんだ」
警察が注意する。なにか曰くがあるのかと問うが、答えてくれなかった。

テント

主人公は単独でハイキングする男性。歩きながら、なにかが後ろにいるような気配に悩まされる。夜、テントで寝ていると、外から物音が聞こてくる。気になって眠れない。朝、周辺を見てみると、たくさんの足跡があった。
怖い経験をしたのに、山歩きをやめられない。そんな自分が怖い。魅入られているのだろうか。

ウォッチング

主人公は若い女性。雨の山でひとり歩いていると、バードウォッチングを楽しむグループに声をかけられる。双眼鏡で鳥を見たり、説明を聞いているうち、女性の顔に明るさが戻ってきた。女性は自殺しに山に来たようだが、男性はなにも聞かない。
メンバーがなにかを見つけ、騒ぎ始めた。しかし女性には見えない。双眼鏡を借りると、首吊りした女性が見えた。男性は「ここは自殺の名所で霊がよく見える」と言う。女性は不安になって問いかける。「みなさんは、本当にバードウォッチングに来たんですか?」だれも答えない。女性はひとりで帰った。
自殺する気は失せていた。自殺したあとも、ああして観察されるのはいやだった。

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