4ツ星

作りこんであるが、粗い

一人称視点のSFサバイバルアクションゲーム。戦闘はあるが、スルー可能。パズルはあるが、簡単。お使いはあるが、代替手段あり。これはなにかと問われれば、探索ゲーム。迷路を抜けたり、ボスを倒すアイテムを探すのではなく、ただひたすら探索を楽しむためデザインされている。それはそれで素晴らしいが、私はストーリー中毒者なので、ストーリーについてのみレビューする。

まず、開始30分で味わえる転換は素晴らしかった。近年まれに見るSF的興奮だった。しかし、つづかない。知りたいことは山ほどあるのに、探索がはじまってしまうからだ。そもそも短編小説くらいのボリュームしかないため、探索が勢いを削っている。しかも明かされた背景は抜けが多い。おまけに「オチ」は突飛で、多くのプレイヤーを振り落としてしまっただろう。

本作は、人類が1958年にエイリアン(ティフォン)と遭遇した時点から分岐したパラレルワールド、という設定だが、なぜそうしたのか理解できない。ケネディ大統領が暗殺されず、80年代から宇宙ステーションが建造され、ティフォンがもたらした技術革新が普及している社会は、主人公の選択にいっさい関係しない。どうしてもパラレルワールドにしたいなら、「もう1つの2017年」を舞台にすべきだろう。
宇宙ステーション内の「常識」もわからない。クルーたちはティフォンが存在や危険性をどのくらい認識していたのか? 対話不可能で、強靭で、人間を襲う宇宙生物を、何十年も研究していたわりには、管理が杜撰だ。なにもかも不自然だ。

エンディングを見ると、本作のテーマが「トロッコ問題」だったと気づく。しかし宇宙ステーションで出会う人たちのリアリティに乏しく、主人公の悩みはさっぱり描かれない。最終的にはプレイヤーが決めるにしても、主人公が揺れてくれないと盛り上がらない。主人公がティフォンの能力を高めたことによるデメリットも少ない。人間のため戦っているのに、助けた人間に恐れられ、発砲されるくらいの変化は必要だろう。

つまるところ本作は、雰囲気重視で整合性をおざなりにしたわけだ。ま、よくあること。

あと個人的な意見だが、どうにも January は好きになれない。人工知能にしては人間臭く、December を破壊したのも不信を招く。こんなの諭されて、ホイホイ無理心中なんてできないよ。ゲームだから、死ねと言われれば死ぬけど、内心、気持ち悪かった。



Steam: Prey

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プレイ / Prey (PC)