ハロウィン Halloween

2018年 外国映画 4ツ星 殺人鬼 狂気 病院 痛い

女三代と殺人鬼、どちらが勝ったのか?

ジョン・カーペンター監督の『ハロウィン』(1978)は、低予算映画ながら大ヒットを記録。『13日の金曜日』(1980)をはじめとするスラッシャー映画ブームの先駆けとなった。シリーズはリメイク含め、12本制作された。
40年後に制作された本作はリメイクではなく、1作目の続編。40年年をとったヒロイン(ジェイミー・リー・カーティス)が主演だという。予告編も魅力的。ドキドキしながら視聴したが、申し分ない出来栄えだった。私は1作目と、ロブ・ゾンビ監督のリメイク2本しか見てないが、1作目のおもしろさを十分に引き継ぎ、かつ新しかった。
『ターミネーター: ニュー・フェイト』(2019)でリンダ・ハミルトンの復帰も話題になっていた。おばあちゃんヒロインの復帰としては、本作に軍配が上がる。

むろん、不満点はある。
まず状況と登場人物を理解するのに苦労した。わかってしまえば複雑じゃないし、結局わかったから合格なんだけど、序盤はかったるく感じた。やはりマイケルが暴れるところを早く見たかったからね。
おばあちゃんの人となりも戸惑った。スラッシャー映画のヒロインは真実の象徴。しかし本作のおばあちゃん(ローリー)は、「真実を訴えても信じてもらえなかった」を経験して40年の歳月が流れている。偏屈を通り越して異常者になってしまった。狂気vs正気の構図が成り立たない。そこを、ローリーの孫娘であるアリソンが埋めるわけだが、娘カレンが挟まることでややこしく感じた。

いざ殺戮がはじまると、登場人物はどんどん減っていった。ポッドキャスト配信者は生き残ると思っていたのに。元凶である医師も即刻退場。早すぎる。あっけない。
人物が減ることで、場は煮詰まり、女三代が残る。これが本作のねらいだった。

マイケルの殺戮は地味だが容赦がない。ハロウィンの夜。カメラはマイケルの背中を追いかける。撲殺からハンマー、ナイフと武器を交換してゆく。ハロウィンの馬鹿騒ぎで、仮面の大男が歩いていても、だれも注目しない。物音がしても無視。「見た」と騒いでも信じてもらえない。
これだ。これがハロウィンだよ。

マイケルは異常者だが、白痴ではない。ではなにを求め、なにを考えていたのか? 最後にマイケルの心中がわかると思って見ていてが、わからなかった。わかったことは、マイケルは多くの人を魅了したこと。研究した医者も魅了された。医者は「マイケルは狂ってない」と言っていたが、つまるところ狂った医者の意見でしかない。
ローリーは40年もマイケルを待っていた。マイケルに塗りつぶされた人生だった。女三代が殺人鬼を撃退したように見えるが、彼女たちが払った代償は大きい。

わからないから、目を離せない。わかることができれば、静かに暮らせる。早く忘れたいから、わかろうとする。あれこれ考え、常軌を逸してゆく。それはマイケルに魅了された証し。まだ殺されてない状態だった。
監督が意図したテーマではないかもしれないが、私はそのように解釈した。おもしろかった。

シリーズ化された殺人鬼
レザーフェイス
ブギーマン
ジェイソン
フレディ
グッドガイ人形
ハンニバル・レクター
シザーマン
脅迫者
フィッシャーマン
ミュータント
ジグソウ
キラ

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