レビュー  2005年01月30日  に発表された 

仮面ライダー響鬼 (全48話)
Kamen Rider Hibiki

5ツ星

なぜ明日夢を弟子にしなかったのか

前半(プロデューサー交代まで)が素晴らしく、後半が駄目とは思わない。どちらも駄目だ。最大の過ちは、明日夢を弟子にしなかったこと。「鬼と魔化魍の非現実バトル」と「リアルな高校生日記」のパラレル展開は、最後までちぐはぐな印象を与えた。
もちろん「明日夢が弟子にならないところが新鮮」とする意見はわかる。だが、ヒーローの身近にいる少年がヒーローに距離を置くことの意味(マイナス効果)は大きい。恋愛ドラマの主人公が恋愛しないようなものだ。つまるところ番組は、その代償を払いきれなかったわけだ。

私も前半の雰囲気は大好きだ。もう、たまらなく好き。だけど絶賛できるのは起承転結の「起」だけ。設定が細かそうに見えるが、実際に細かく表現されたわけじゃない。
たとえば鬼は「職業」なのだろうか? 猛士の活動資金はどこから出てる? 非公式でも政府に認知された組織なの? 車で移動したり、兵器の開発担当者がいるのはいいが、それだけじゃ足りない。
敵対する魔化魍も不明瞭すぎる。そもそも魔化魍は敵なのか、災害なのか? 「魔化魍も人類との共存を願っているが、跳ねっ返りがいる」とか、「魔化魍は自然現象でしかなく、百年周期で大発生する」といった設定があれば、大いに納得できただろう。
仮面ライダー(子ども向け番組)だから、細かいところを突っ込んでも仕方ない。しかし「明日夢が弟子にならないリアルさ」を表現するなら、びしっと描く必要があったはずだ。

最終的に鬼にならないにしても、とりあえず明日夢は弟子入りすべきだった。それが起承転結の「承」になる。修行して、鬼の実情を学び、周囲に認められた状態で「このまま鬼になっていいのか?」と迷うことが「転」になる。いつまでも遠巻きに見てるだけじゃ、物語がはじまらない。

あきらが鬼を辞めた理由、京介のどこが認められたのか、非現実すぎる轟鬼の復活、最大の危機にも姿を見せない関東支部の鬼たち......。後半の迷走は、前半のツケを払わされた結果であって、そこだけ責めるのはまちがいだ。

響鬼は素晴らしい作品だった。しかしボタンの掛け違いを修復できなかった。無念きわまるが、あとにつづく野心作のために、高く評価しておきたい。本当に好きだった。


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仮面ライダー響鬼 (全48話)