レビュー  2016年10月02日  に発表された 

仮面ライダーエグゼイド (全45話)
KAMEN RIDER EX-AID

2ツ星

ゲームにも医療にも詳しくない人が作ったの?

人類とバグスターが命がけの戦いを繰り広げるゲーム、『仮面ライダークロニクル』。プレーヤーは、ゲーム病を発症し、ゲームオーバーになった者は消滅する、危険なゲームが、街にはびこっていた。これは、かつてないウイルスから患者の命を守るために奔走する、ドクターたちの物語である。

「ゲーム」と「医療」をモチーフと聞いて、ちょっと期待した。きっと『電光超人グリッドマン』(1993)のような電脳世界が舞台で、漫画『バイオ・ハンター』(1989)のバイオ・ダイビングのような医療行為が展開するのだろう。『ノーライフキング』(1989)、『アヴァロン』(2001)、『サマーウォーズ』(2009)など、先駆者も多い。どんなドラマになるだろうと期待したが、予想はすべて外れた。

だれもゲームで遊んでない

ゲーム病? 垢抜けないネーミングも衝撃的だが、なにより正体がわからない。ゲームをプレイして感染するんじゃないの? てゆーか、ゲームで遊ぶシーンがぜんぜんないよ。ゲーム機もない。ガシャットはファミコンのロムカセット(カートリッジ)をモチーフにしているが、あれを差し込むゲーム機がないのはおかしいだろ。ゲームのタイトルは多いが、それらは子どもたちが、いま、遊んでいるゲームなの? それともかつて存在したレトロゲーム? わからない。

仮面ライダークロニクルが発売されると、みんなガシャットを手に外に飛び出して、見かけた怪人に物理戦闘を挑んでいる。おいおい、非電源ゲームかよ。おまけにゲーマドライバーもバグルドライバーも使わず変身。ゲーマドライバーは適合判定があり、バグルドライバーはバグスター用なら、一般家庭向けゲーム機(変身ベルト)を出すべきじゃないのか?
パラドもベルトなしで変身してる。ガシャットギアデュアルが、バグルドライバーに刺さらないせいだ。玩具として設計不足だぞ!

主人公はゲームが好きでも、得意でもない

永夢は天才ゲーマーという設定だが、物語がはじまった時点でゲームへの興味はナッシング。達人ゲーマーらしい観察眼や個性もない。しかもゲームスキルはパラドのおかげで、本人の資質や努力の世界じゃなかった。ただのチーターじゃん。こうなるとゲームに理解があるような言葉も、メダル(エナジーアイテム)を使った戦術も、突飛なゲーム攻略のアイデアも、すべてウソっぽく見える。
天才ゲーマーという設定が失われると、永夢の個性はなにもない。屈託もない。ゴーストと同じく「いい子」の主人公だった。がっくし。

医療でもない

医療の描写も現実離れしている。子供番組の制約はあれど、監督が「子供たちに病院は怖い場所ではないことを伝えることが理想」と語るなら、もっと踏み込むべきだろう。病気とはなにか、病院の仕組み、医者の役割、チームプレイ、医療がどのように進化するかなど、伝えるべきことは多い。とてもとても多い。ありえない病院を描くと、病気になった子供にショックを与えるだろう。

永夢がゲーム病と判明したときは、「患者の立場を経験することで、医者として成長する」という展開を期待したが、これもウヤムヤ。永夢は戦いつづけ、なんとなく解決。医療を描くつもりないでしょ?

バグスターウィルスの被害は拡大し、災害レベル、天変地異レベル、人類滅亡レベルに達する。もはや医者がどうこうできる問題じゃない。だのに気合と根性でワクチンが完成。量産の制約はベームで解決。お手軽だな。本作はむしろ、病気に対する誤解を広めそうだ。

目的は企業利益?

幻夢コーポレーションは利益のため、この騒動を起こしたと言う。人を病気にするゲームを発売して、消滅した魂を人質にすれば、世界一のゲーム会社になれる? 本気でそう考えているところが恐ろしい。完全に狂ってる。本作に登場する大人たちは、一人残らず馬鹿だ。

それと気になったことだが、檀黎斗は母親の死に悲しむことなく、父親である檀正宗を躊躇なく殺害した。『仮面ライダードライブ』の詩島剛が父・蛮野を殺すしかないと決めたような迷いもない。檀黎斗はユーモラスなキャラクターだが、倫理的問題から自由ってわけじゃない。このあたり、子供番組としてどうなのよ? 悪いやつは親でも殺すってのが、近ごろの倫理観なのかねぇ。

雑な番組だった

  • デザイン ... デザインはよかったよ。エグゼイドもブレイブもスナイプもいい。
  • フォームチェンジ/レベルアップ ... ゲームをモチーフにした鎧を装着してレベルアップってのは、見栄え的にも、オモチャ的にも魅力が乏しかった。そのゲームがドラマで描かれることもないから、なんの愛着もない。ゴテゴテして、むしろ弱そう。
  • ステージセレクト ... ただ現在地を見失うだけ。『宇宙刑事ギャバン』(1982)の魔空空間みたいに、戦闘用のフィールド(ゲーム空間)があればよかったのに。
  • マキシマムゲーマー レベル99 ... 奇抜でおもしろかった。『強殖装甲ガイバー』の巨人殖装(ギガンティック)、『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』ハルクバスターを彷彿させる。しかし戦闘シーンの撮影に耐えられなかったのか、脱いじゃうことが多かったのは減点。
  • 仮面ライダーポッピー ... 「テレビシリーズのヒロインが、専用の変身アイテムで仮面ライダーに変身するのは、シリーズ史上初」と宣伝されたが、その活躍はわずか。ちゃんと使ってやれよ。ドクターマイティXXを装着して、白衣の天使に変身してほしかった。これも、ガシャットギア デュアルがバグルドライバーに刺さらないせいだ。
  • ムテキゲーマー ... 『鎧武』の極、『ゴースト』のムゲンシンカと同じく、よくわからない究極フォーム。とどのつまりチート。強いのは好きだが、無敵はダメだ。クロノスの時間停止に対抗するだけならよかったが、汎用的に強かったため、登場するたび萎えた。

結論。雑な番組だった。


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仮面ライダーエグゼイド (全45話)