レビュー  2015年04月22日  に発表された 

鎧武/ガイム外伝 仮面ライダー斬月
Gaim Gaiden: Kamen Rider Zangetsu

4ツ星

時間が足りない

『W RETURNS』につづく平成仮面ライダーのVシネマ作品。特撮界においてVシネマがどういう位置づけなのか知らないが、本編放送後にスピンオフ作品が発表されるのはうれしい。それも『W』のあと、『オーズ』、『フォーゼ』、『ウィザード』を飛ばして『鎧武』だから、格のちがいを感じさせる。商品は、景虎とバロンを主役とする30分のサイドストーリーがセットになっているが、それぞれについてレビューする。

あらすじ

本編20話以降の話。ユグドラシル・コーポレーションで関係者を狙った襲撃事件が発生。シドもその被害に遭う。貴虎は調査に乗り出すが、犯人の正体は皆目わからない。
そんなある日、元使用人の女性・朱月藤果(あかつき・とうか)が呉島家を訪ねてきた。藤果は景虎たちの父親・呉島天樹が亡くなったことを伝えるが、兄弟の反応は冷めていた。呉島天樹は「ノブレス・オブリージュ」をモットーとする厳格な男だった。彼はヘルヘイムの森の侵食に対抗すべくユグドラシルの創設し、その未来を担う人材育成のため「沢芽児童保育館」を建てた。藤果はその孤児院の出身であり、能力を見込まれ呉島家に奉公していた。
景虎にとって藤果は唯一心を許せる同世代の友だちだった。藤果は奥ゆかしく、料理も上手だが、なぜかアップルパイだけは下手くそだったが、その味は景虎に家族の団らんを思い出させるのだった。

しかし藤果こそが襲撃者の正体・仮面ライダーイドゥンだった。
呉島天樹は「沢芽児童保育館」の子どもたちで人体実験を繰り返しており、藤果はその生き残りだった。ユグドラシルへの復讐を誓った藤果は天樹を殺害。関係者を襲撃し、自分の正体に気づいた景虎を殺そうとした。仮面ライダーイドゥンの圧倒的なパワーに、景虎は斬月ウォーターメロンアームズで応戦する。しかし藤果は景虎の純真な正義に心打たれ、また景虎も思い出のため藤果を殺せなかった。

敗走した藤果を待っていたのは、戦極凌馬だった。凌馬も同じ孤児院の出身だったが、彼には仲間意識も正義の心もなかった。藤果はリンゴロックシードの実験データのため、泳がされていたのだ。凌馬は景虎の知らないところで藤果を殺害、ロックシードを回収する。復讐の道半ばに倒れる藤果だが、その心には景虎への思いしかなかった。

ストーリーがおもしろく、30分ではぜんぜん足りない。多くの人はリンゴアームズや、景虎と藤果の微妙な関係に目を奪われるだろうが、登場人物の正義がそれぞれ異なるところがおもしろい。みんな自分の正義を遂行しているだけなのだ(凌馬は別)。このあたりの機微を描く余裕がなかったことが悔やまれる。

  • 呉島天樹 ... 人類を救うためなら少数の犠牲はやむを得ない。
  • 呉島景虎 ... 少数の犠牲に心を痛めながらも、強い意志で遂行する(父親の正義を継承)。
  • 呉島光実 ... 自分の大切な人を守るためなら手段を選ばない(父親の暗黒面を継承)。
  • 朱月藤果 ... 少数の犠牲を許さない。ユグドラシルを壊すことで人類が滅びる可能性は無視。
  • 戦極凌馬 ... 自分の野望のためなら犠牲の多寡は気にしない。
  • 葛葉紘汰 ... 少数を犠牲にしない解決方法を探す。


※仮面ライダーイドゥン リンゴアームズ vs 仮面ライダー斬月 ウォーターメロンアームズ


また天樹(老人)が、藤果(自分への復讐心を秘めた少女)をそばに置いていたことも興味深い。天樹は藤果の復讐心に気づいていなかったのか? それほど自分の正義に酔っていたのか? あるいは復讐心に気づきながらも、ダモクレスの剣として捨て置いたのか?
使用人が主人を殺す。主人が使用人に殺される。そのとき彼女/彼は、なにを思ったのか? 考えだすと深い。

ストーリー、設定、限定アームズ、レギュラー総出演と、贅沢なスピンオフだった。


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