レビュー  2017年04月19日  に発表された 

ゴースト RE:BIRTH 仮面ライダー スペクター
Kamen Rider Ghost RE:BIRTH: Kamen Rider Specter

3ツ星

なんじゃこりゃ?

『仮面ライダーゴースト』の後日談。主要登場人物がそのまま出演しているが、異世界(眼魔世界)が舞台で、本編になかった問題を取り扱っているため、別物に仕上がっている。

前提条件が過酷すぎる

眼魔世界というが、画面から推察するに人口は多くて500人程度。彼らは弥生時代から三千年にわたって不死だったから、医学や福祉、葬儀の文化もないだろう。ひょっとしたら食糧生産、物流、備蓄、配分もできないかもしれない。彼らは事前の合意も、準備もないまま、いきなり「寿命ある人間」として覚醒し、荒廃した世界に放り出された。これまでの文化や社会を、そのまま維持できるとは思えない。
アランは日本政府と交渉して、移住を検討すべきだろう。それが無理なら、明治政府がやったように、眼魔世界からエリートを留学させたり、お雇い外国人から学ぶほかない。民族の自主性は尊重したいが、存亡がかかっているのだ。

もちろん、こんなことを突っ込むのは野暮だとわかってる。しかし本作のテーマは「人間の定義」に触れるのだから、無視できない。

勝った方が決める

ダントンは「眼魔世界に適合した改造人類に進化すべき」と提唱した。眼魔世界の住人がこれまで不死だったことを考えると、四苦(生、老、病、死)を是とするアランの方が異常だ。賛同者がいるとは思えない。マコトやカノンも改造人間だったため、技術の不備、倫理問題で否定できない。
改造人間は不死ではないようだが、病気や怪我、老衰から解放される。現状、アランたちの大気改造計画は実現のめどが立たず、多くの犠牲者が出てくる。それでもなお、「寿命ある人間でいるべき」と主張するのは無理がある。

どうやってダントンを論破するのか?
どうやって眼魔世界の住人たちを説得するのか?

と興味をそそられたが、言葉ではなく暴力で決着をつけることに。タケルも戦力がないと交渉できないって言ってたけど、交渉が決裂するまえから武力行使しちゃダメだよ。それじゃアドニス大帝を変わらない。いや、弱者を自分の思い通りにするという視点ではダントンと同じだ。

よく考えずに裏切るな

マコトはダントンを支持し、アランを殺した。アランを説得するのではなく、武力で排除した。ふだんから議論しないから、こうなる。それで親友と言えるのか? 呆れていたが、ちゃっかりアランは生存。詫びるシーンさえなく、元の鞘に収まってしまった。おいおい。おまえらの友情、おかしいぞ。

『仮面ライダーゴースト』は本編においても、さしたる理由なく「限りある生命がいい」と結論づけている。「限りある生命だからできることがある」とか「不老不死だとこうした問題が起こる」と言った掘り下げもないから、とても薄っぺらい印象を受けた。それは本作も同じ。

寿命の是非とか、民族の存亡と言ったテーマを扱うには、脚本家の人生経験、あるいは読書量が足りなかったようだ。

 Googleで「ゴースト RE:BIRTH 仮面ライダー スペクター」を検索する
 Wikipediaで「ゴースト RE:BIRTH 仮面ライダー スペクター」を検索する
 IMDBで「Kamen Rider Ghost RE:BIRTH: Kamen Rider Specter」検索する

コメント (Facebook)

[ASIN] B073PHZLC7
思考回廊 レビュー
ゴースト RE:BIRTH 仮面ライダー スペクター