レビュー  1993年02月13日  に発表された 

私が愛したウルトラセブン 第I部「夢で逢った人々」
Ultra Seven that I love Part1

5ツ星

文化祭前夜の興奮

あくまでもドラマであり、事実と異なる点も多いが、まるっきり虚構というわけでもない。どこまで事実で、どこからフィクションか、線引きするのは無粋だが、これを気に興味をもって学ぶのも楽しい。テレビ放送当時、私は22歳。これを機に、私はウルトラマンをつくった人たちに興味を持ちはじめた。

脚本を書いたのは、実際に『ウルトラセブン』の脚本を書いていた市川森一。彼自身も、石川森一という仮の姿で物語に登場する。香川照之の演技はアクが強く、鼻つまみ者になっているが、あれは市川森一の照れ隠しかもしれない。

本作は群像劇であり、関係者たちのエピソードが同時進行する。
円谷プロでアルバイトをしていたひし美ゆり子(田村英里子)は、満田監督(塩見三省)に見初められ、ヒロインに抜擢される。森次晃嗣(松村雄基)は結婚する機会を逸し、ヒーローを演じることに集中する。上原正三(仲村トオル)と金城哲夫(佐野史郎)は沖縄と本土、夢とビジネスの狭間で揺れ動く。
どのエピソードにもオチはない。中途半端な気がするが、彼らは生きてる人間であり、青春を駆け抜ける最中なんだと思うと、すとんと納得できた。このとき彼らは、ウルトラマンが長寿コンテンツになることも、沖縄が返還されることも知らなかったのだ。

田村英里子はハマリ役だね。その若さ、ひたむきさ、たどたどしさ、プチナイスバディがたまらない。路地裏で本物と退治したときは、ぎょっとしたよ。それから財津一郎が演じる三国(=橋本洋二)プロデューサーも強烈。彼の存在が、物語に緊張感とリアリティを与えている。いくらか誇張はあるだろうが、似たような衝突はあっただろうな。

残念なのは、当時の世相や円谷プロの実情、登場人物の紹介がまったくないこと。ある程度知識がないと没入しづらいのではないか。私のように調べる人もいるだろうが、もっと多くの人を魅了するために状況説明がほしい。いや、ない方がいいのかな? わからない。
本作は青春群像劇であって、円谷プロのドキュメンタリーや再現ドラマではない。だからこれでいいのかもしれない。


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