レビュー  2006年03月19日  に発表された 

ひらいたトランプ / 名探偵ポワロ #55 (デビット・スーシェ主演)
Cards on the Table / Agatha Christie's Poirot #55

2ツ星

狂ってるなら、しょーがない

あらすじ

ポワロは資産家シェイタナのパーティーに招かれる。シェイタナの弁によれば、この中に人を殺しながら逃げおおせた殺人者がいて、あとで重大発表をすると言う。8人の客は4人の捜査陣と、4人の殺人者に分けられ、ブリッジを楽しむ。そのさなか、シェイタナは何者かに刺殺される。

  1. エルキュール・ポワロ ... 【捜査陣】私立探偵。
  2. アリアドニ・オリヴァー ... 【捜査陣】推理作家。
  3. ヒューズ ... 【捜査陣】大佐。原作ではレイス大佐。
  4. ジム・ウィーラー ... 【捜査陣】スコットランド・ヤード警視。原作ではバトル警視。
  1. ジョン・ロバーツ ... 【殺人者】女好きの医師。浮気相手の患者が旅行中に病死している。
  2. ジョン・デスパード ... 【殺人者】気取った探検家、少佐。南米旅行に同行したラクスモア教授が熱病で亡くなっている。
  3. ロリマー夫人 ... 【殺人者】冷静で、理知的な未亡人。2度結婚し、どちらも死別している。アンを意識している。
  4. アン・メレディス ... 【殺人者】若くて美しい女性。緊張のためか証言が二転三転する。ローダ・ドーズという友人と住んでいる。叔母がまちがった薬を飲んで死んでいる。

容疑者はたったの4名。それぞれ人を殺した過去があるから、シェイタナの重大発表(殺人の証拠を公表する)を防ぐため、衝動的に殺したと思われる。ポワロは「衝動的な殺人なら、ブリッジへの注意は失われたはず」と考え、ブリッジの点数表からゲームの様子を確認してく。しかしシェイタナは睡眠薬を盛られていた。するこれは計画殺人なのか?

クローズドサークルであり、容疑者も4名と少ないが、テンポが悪くて状況がつかみにくい。ポワロは「自分はつねに正しい」と断言するが、今回の推理は思いつきが目立つ。
疑わしいのはロリマー夫人だが、夫人は計画なしに人を殺さない。デスパード少佐の殺人は正義ゆえのこと。アン・メレディスの叔母が死んだのは彼女のせいじゃない。だから医師の犯行って、ちょっと無理がありませんか?

医師は患者の予防接種に細菌を付着させたと言うが、これも証拠がない。シェイタナが撮影した写真があれば、「機転が効く殺人者」という前提を得られただろうが、そうすると衝動殺人のためブリッジへの注意が薄らいだとする根拠は弱くなる。殺すと決めた瞬間、まったく同様しなくなる殺人者だっているだろうから。さらに言えば、美人秘書のキスを拒んだから同性愛者というのも言いがかりに等しい。

シェイタナが自分で睡眠薬を飲んだという推理もぶっ飛んでいる。シェイタナは生に執着せず、心を病んでいたと言うなら、せめて余命わずかとする医師の診断書くらい欲しかった。仮にシェイタナが、自分を殺してもらうため殺人者を集め、煽ったとしても、寝てるあいだに(痛みもなく)殺してもらえると思うのは安直だ。実際、あの状況で手を出したのは医師だけで、医師は毒物によって時間をかけて殺したのだから。

ちょっと整理してみる。これだとまったく別の物語になってしまうか。

★妄想リメイク

ポワロはシェイタナのパーティーに出席するが、そのさなかシェイタナは刺殺される。シェイタナの遺書によると、彼は自分の愛する人を殺した可能性がある4名を見つけたが、能力と寿命から特定できなず、自分を囮に殺人を実行させたと言う。シェイタナはポワロに、自分を殺した殺人者の特定を依頼する。

原作のバトル警視、レイス大佐がオリジナルキャラクターに変わったため、「捜査陣に殺人者が紛れ込む疑惑」が生じている。そしてラスト、警視に女装癖があったことが暗示されるが、これだとシェイタナの重大発表が警視の奇癖の暴露に見えてしまう。
どうしてこのシリーズは、むやみに複雑化させるのだろう? ブリッジのルールや点数を見せれば、十分な尺稼ぎができただろうにね。

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思考回廊 レビュー
ひらいたトランプ / 名探偵ポワロ #55 (デビット・スーシェ主演)