レビュー  1983年10月22日  に発表された 

ミス・マープル「カリブ海殺人事件」 (ヘレン・ヘイズ版)
AGATHA CHRISTIE'S A CARIBBEAN MYSTERY

3ツ星

全知全能ではありません

あらすじ

静養のためカリブ海のコテージにやってきたミス・マープル。数日後、年老いた少佐が殺人犯の写真を見せようとするが、マープルの肩越しに見えた「だれか」に驚き、そのまま去ってしまう。その夜、少佐は心臓麻痺で死亡。写真が消えていたことから、マープルは「だれか」による殺人を疑う。

  1. ラフィール ... 宿泊客。偏屈な老人。大富豪だが、足が不自由。
  2. ルース ... 宿泊客。ラフィール氏の秘書。
  3. グレッグ・ダイソン ... 宿泊客。
  4. ラッキー・ダイソン ... 宿泊客。モーリーと間違われる。
  5. イーヴリン・ヒリンドン ... 宿泊客。
  6. グレアム ... 医師。マープルに促され、少佐の病歴を調べる。
  7. ティム ... ホテルの経営者。
  8. モリー ... ティムの妻。情緒不安定で、ときおり記憶を失う。
  9. ヴィクトリア ... ホテルの従業員。少佐の部屋でグレッグの薬を見つける。

ヘレン・ヘイズが演じるミス・マープルは、本当にふつうのお婆ちゃん。人たらしの魔性も、なんでも見通せる怜悧さもない。ドラマの主人公でなければ、だれも注目しないだろう。実際、犯人も油断した。あんがい、原作のイメージに近いかもしれない。
見た目が地味でも、事件を嗅ぎ回れば目立つ。犯人の目星がつかないため、全方位を警戒する。このへんの緊張感はよかった。警戒心の薄いヴィクトリが殺されたことを対比させれば、もっと際立ったと思う。

ヒクソン版に比べわかりやすいが、盛り上がりに欠ける。これは本作に限ったことではないが、あちこちの人物ドラマを並行させるため、マープルさんの視点がぼけてしまうのだ。

ラフィール氏とのからみも不十分。マープルが彼を協力者に選んだ理由は、少佐が高血圧でなかったと証言したためと思われるが、言及がないため唐突に感じる。ラフィール氏がマープルを、「復讐の女神」と称えるシーンがないのも納得できない。ふたりの関係を描かないなら、なんのため本作をチョイスしたのか? しかも2作目は「魔術の殺人」である。わけがわからない。

ラスト、マープルは来年も来てくださいと請われるが、ていねいに断る。一方、ラフィール氏のツンデレ挨拶にはウインクを返している。このへんの演出は素敵だった。

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ミス・マープル「カリブ海殺人事件」 (ヘレン・ヘイズ版)