全知全能ではありません
あらすじ
静養のためカリブ海のコテージにやってきたミス・マープル。数日後、年老いた少佐が殺人犯の写真を見せようとするが、マープルの肩越しに見えた「だれか」に驚き、そのまま去ってしまう。その夜、少佐は心臓麻痺で死亡。写真が消えていたことから、マープルは「だれか」による殺人を疑う。
- ラフィール ... 宿泊客。偏屈な老人。大富豪だが、足が不自由。
- ルース ... 宿泊客。ラフィール氏の秘書。
- グレッグ・ダイソン ... 宿泊客。
- ラッキー・ダイソン ... 宿泊客。モーリーと間違われる。
- イーヴリン・ヒリンドン ... 宿泊客。
- グレアム ... 医師。マープルに促され、少佐の病歴を調べる。
- ティム ... ホテルの経営者。
- モリー ... ティムの妻。情緒不安定で、ときおり記憶を失う。
- ヴィクトリア ... ホテルの従業員。少佐の部屋でグレッグの薬を見つける。
ヘレン・ヘイズが演じるミス・マープルは、本当にふつうのお婆ちゃん。人たらしの魔性も、なんでも見通せる怜悧さもない。主人公でなければ、だれも注目しないだろう。実際、犯人も油断した。あんがい、原作のイメージに近いかもしれない。
見た目が地味でも、事件を嗅ぎ回れば目立つ。犯人の目星がつかないため、全方位を警戒する。このへんの緊張感はよかった。警戒心の薄いヴィクトリアが殺されたことを対比させれば、もっと際立ったと思う。
ヒクソン版に比べわかりやすいが、盛り上がりに欠ける。これは本作に限ったことではないが、あちこちの人物ドラマを並行させるため、マープルさんの視点がぼけてしまうのだ。
ラフィール氏とのからみも不十分。マープルが彼を協力者に選んだ理由は、少佐が高血圧でなかったと証言したためと思われるが、言及がないため唐突に感じる。ラフィール氏がマープルを、「復讐の女神」と称えるシーンがないのも納得できない。ふたりの関係を描かないなら、なんのため本作をチョイスしたのか? しかも2作目は「魔術の殺人」である。わけがわからない。
ラスト、飛行場にて
モ「来年も来てね。ホテル代はサービスよ」
マ「まあ うれしいわ」
マ「でもやっぱり家のほうがいいわ」
マ「シャッフルボードは苦手なの」
花束をもったラフィール氏が駆けつける。
ラ「プレゼントだ! 高かったぞ!」
ラ「いいんだ! 別れの言葉は苦手だ!」
マ「私もよ」
去っていくマープル。別れを惜しむラフィール。
振り返ってウィンクするマープル。
END
初めてみたときは「マープルさん、つれないなぁ」と思ったが、あえてラザフォード版と差別化したのかもしれない。これはこれで素敵かも。
アガサ・クリスティ
ポワロ | |
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デビット・スーシェ (David Suchet) |
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ピーター・ユスティノフ (Peter Ustinov) |
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声:里見浩太朗
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ポワロ |
ミス・マープル | ||
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奥さまは名探偵 |
ほか | ||
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検察側の証人 | ||
そして誰もいなくなった | ||
ほか |
- Google [ミス・マープル「カリブ海殺人事件」 ]
- Wikipedia [ミス・マープル「カリブ海殺人事件」 ]
- IMDB [AGATHA CHRISTIE'S A CARIBBEAN MYSTERY]