レビュー  1992年01月19日  に発表された 

愛国殺人 / 名探偵ポワロ #33 (デビット・スーシェ主演)
One, Two, Buckle My Shoe / Agatha Christie's Poirot #33

2ツ星

演出不足でいろいろ台無し

あらすじ

 ポワロが通っている歯科医(ヘンリイ・モーリイ)が拳銃自殺した。モーリイ氏に自殺する理由はないため、ジャップ警部は他殺の可能性を疑う。その後、ギリシャ人(アンベリオティス)が麻酔の大量投与で死亡。モーリイ氏は医療ミスを悔いて自殺したと思われたが、ポワロは納得できない。
 数日後、元女優(メイベル)が行方不明になり、宿泊先で死体が発見される。

ポワロは歯科医の拳銃自殺に納得できないというが、根拠は示されない。ヒントのようにメイベルの靴が映されるが、意味がわからない。どうやって調査するのかと思いきや、ポワロの興味はメイベル失踪に向き、さらに銀行頭取(ブラント)へと移っていく。なにかを追っているように見えない。結局、謎解きされるまで状況把握できない。短編はいいけど、長編だと疲れる。

犯人のターゲットはメイベルとアンベリオティスで、歯科医は犠牲者だった。アンベリオティスの殺害は成功したが、メイベルの死体偽装で犯人の意図がばれ、失業青年をスケープゴートにしたことで犯人が特定されたわけか。ややこしい。アンベリオティスの殺害だけなら、完全犯罪だったのにね。

真相(犯人視点)

ブラントはガータと結婚していたが、アーンフォルト財閥の令嬢レベッカに求婚されたとき、ガータと結託して結婚の事実を隠した。やがてレベッカが死ぬと、ガータは秘書として潜り込む。ブラントは英国の平和と安全に貢献した。
ところがガータとの結婚を知る元女優(メイベル)が帰国。また重婚に気づいたアンベリオティス氏に恐喝されてしまう。メイベルとアンベリオティスを殺さなければならない。

ブラントは歯科医の予約ノートにアンベリオティスの名前を見つけ、殺害計画を立てる。まず、ガータがシルヴィア・チャップマンという名前で歯科医に通い、自分の歯型をカルテに残す。その後、メイベルを殺害、顔をめちゃくちゃに破壊して納戸に隠した。
事件当日。第一の患者(ブラント)は、治療が終わったあとに歯科医を射殺、死体を隠した。第二の患者(メイベルに化けたガータ)はカルテの名前を書き換え、やがて発見されるメイベルの死体がシルヴィア・チャップマンと誤認させる。第三の患者(アンベリオティス)がやってくると、歯科医に化けて、致死量の麻酔を注射した。

アンベリオティスが脅迫していた根拠は示されない。またメイベルは脅迫どころか、ブラントの結婚も知らなかったみたい。脅迫する可能性があるというだけで殺してしまうのだから、犯人たちの狂気が伺える。あるいは...プロットの甘さが伺える。
ガータがメイベルに変装するさい、新しい靴を履いたのは軽率だったかもしれないが、そこから真相が露見するのは無理がある。失業青年(カーター)が第一発見者だったことも、事件解決の突破口になってない。推理の段取りが不自然だ。

原作は「愛国者であろうと殺人者は許さない」というポワロのスタンスがテーマだったらしい。そうした切り口があれば、トリックと相まっておもしろくなっただろう。冒頭のインド時代の映像も突飛で、「あれがそうだったのか!」と驚く余地もない。ポワロの謎解きも時系列にそっていないため、わかりにくい。いろいろ演出が足りない映像化だった。

ポワロがジャップ警部の自宅を訪ねるシーンは微笑ましいが、例によって食べ物の件で、和気藹々と言えない雰囲気。このあたり、もうちょいソフトに描けないものかな。と思ってしまうのは日本人の気質で、イギリス人にとっては微笑ましい友情なんだろうか?

 Googleで「愛国殺人 / 名探偵ポワロ #33 」を検索する
 Wikipediaで「愛国殺人 / 名探偵ポワロ #33 」を検索する
 IMDBで「One, Two, Buckle My Shoe / Agatha Christie's Poirot #33」検索する

コメント (Facebook)

[ASIN] B009DEMEZ8
思考回廊 レビュー
愛国殺人 / 名探偵ポワロ #33 (デビット・スーシェ主演)