レビュー  2011年01月02日  に発表された 

鏡は横にひび割れて / アガサ・クリスティーのミス・マープル (S5E4)
Agatha Christie's Marple: The Mirror Crack'd from Side to Side

3ツ星

マリーナの弱さが目立っていた

あらすじ

大女優マリーナ・グレッグがセント・メアリ・ミード村の屋敷を買い取り、映画監督の夫ジェイソンと共に引っ越してくる。マリーナは早速パーティーを開催するが、その会場で彼女の熱烈なファンが殺害される。

(c) ITV PLC  (c) ITV UK / Film Afrika Worldwide

マープルの相棒としてドリー・バントリーが活躍する。金髪の中年女性なので、ときどきマリーナと混同する。
クラドック警部の代わりにヒューイット警部が登場。サー・ヘンリーのすすめでミス・マープル家に直行。協力関係が形成される。また警部がスコーンの話をしてくれる。
マープルを年寄り扱いするナイトはおらず、メイドのチェリーとよい関係ができている。マープルの老い、悲壮を感じさせる演出はない。
養子は2人だが片方(兄)は登場せず。また執事の殺害もない。

オリジナルとして、マリーナが知的障害がある息子と接するシーンがある。マリーナは子どもの手に触れることもできず、泣き崩れる。「失敗作を愛せない」というマリーナの傲慢さが描いているようだが、まったくセリフがないため、マリーナを好意的に見る人がいるかもしれない。

アンジェラ・ランズベリーの『クリスタル殺人事件』(1980)、ジェーン・ヒクソンの『鏡は横にひび割れて』(1992)と比べ、本作のマリーナは女優としても失格だ。セリフを忘れ、相方の態度にいちゃもんをつけ、撮影を中断させている。マリーナへの同情心が薄らぐと、破滅は自業自得としか思えなくなる。「過去に囚われ、未来に目を向けられなかった」というテーマもかすむ。

マリーナの死は、夫による毒殺であったことがほのめかされる。それを察したマープルが、同情を示す。原作通りのラストだが、あまり夫に同情できない。夫が若く、妻を愛する描写が少なかったため、マリーナと同じく、自分がやってしまったことに戦慄しているようだ。

ストーリーが同じでも、演出で受ける印象は変わる。マリーナをただ傲慢な弱虫に描いたのはもったいないと思う。

鏡は横にひび割れて

1980 クリスタル殺人事件 (アンジェラ・ランズベリー 主演)

エリザベス・テイラーの演技に圧倒される。まさに往年の大女優。

1992 鏡は横にひび割れて (ジョーン・ヒクソン 主演)

シリーズ最終回として、マープルの老いが描かれる。マリーナは頑張っているが、まだ足りない。

2011 鏡は横にひび割れて (ジュリア・マッケンジー 主演)

クラドック警部の代わりにバントリー夫人が相棒に。マリーナが傲慢すぎて、さっぱり同情できない。

2018 大女優殺人事件 鏡は横にひび割れて (黒木瞳 主演)

大女優が複雑な人物として描かれるが、探偵が事件以外に興味を示さず、なにも響かない。

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鏡は横にひび割れて / アガサ・クリスティーのミス・マープル (S5E4)