レビュー  2004年12月19日  に発表された 

牧師館の殺人 / アガサ・クリスティーのミス・マープル (S1E2)
Agatha Christie's Marple: The Murder at the Vicarage

4ツ星

いま明かされるマープルさんの情熱

あらすじ

判事のプロズロウ大佐は、厭味な性格で村人たちから嫌われていた。自分の担当する裁判で厳しい判決を下したり、色々な人を責めたり...。ある日、教区委員も務める大佐は、教会の寄付金台帳を確かめようと牧師館を訪ねる約束をするが、そこで発見されたのは...。

(c) ITV PLC  (c) ITV UK / Film Afrika Worldwide

目の前の事件より、マープルさんの過去に興味が向く。本筋に関係ないと思われたが、事件解決のヒントになったのは驚き。マープルさんの若かりし日の情熱が描かれたことで、ぐっと身近になった。ヒクソンさんだと違和感があっただろう。ジェラルディン・マクイーワンならではの挑戦だ。

ジェーンは戦場へ赴く恋人に「奥さんのために帰ってきて」「すべきことが見つかった」と言うが、たぶんウソだろう。心配させたくないとか、みっともない姿を見せたくないとか、生還しても再会できないとか、複雑な思いがあったはず。それゆえ泣いてしまったのか。そう言えば奥さんは見送りに来ていなかった。なのに勲章はもっている。気になる。正直、大佐の死なんかどうでもいい。

犯人はマープルさんに「あなたは恵まれてます。まちがった道を選ばずに済む」と言った。もし恋人が戦場から戻ってきたら、奥さんと奪いになったはず。私たちはカードの裏と表だと言いたかったのか。
犯人が死刑に処される日、マープルさんは教会に赴く。自分が絞首台に送ったようなもの。マープルさんの心中はわからないが、覚悟はしのばれる。

事件も興味深いけど、発生までが長いし、複雑すぎる。犯人はマープルさんの記憶力を信頼したが、観察眼を見くびっていた。また手を下さずとも大佐は殺される運命だった。こうした皮肉も、何度か見ないとわからない。

殺伐とする中で、クラドック警部が緊張をやわらげてくれる。最初はマープルさんの記憶力や聴力を疑っていたのに、その知性に圧倒され、捜査資料を見せ、尋問を任せ、いつしか仲良くなってしまった。

「うちの本部長がよろしく、と」
「あらそう。本部長さんのお手伝い、ときどきしてるから」

「チョコレートをあげようか、杖を蹴飛ばそうか迷うよ」
「チョコにしてちょうだい」

警部が洗った皿に「汚れが残ってる」と突き返すところも微笑ましかった。

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牧師館の殺人 / アガサ・クリスティーのミス・マープル (S1E2)