ポケットにライ麦を / ミス・マープル (4/12) Miss Marple / A Pocketful of Rye
1985年 海外ドラマ 3ツ星 探偵 推理 @アガサ・クリスティ原作に忠実だが、原作を台無しにしている
2016年、原作小説を読んで、再視聴した。ミス・マープルが中盤あたりまで登場しないことや、登場人物やイベントが多いのは原作通りだった。映像を見たときは、なぜ目当てのツグミ鉱山に注目をあつめるのか不思議だったが、東と西にツグミ鉱山があったのか。わからないよ。マッケンジー夫人も出てこないから、背後関係もさっぱり。
ドラマは三人称視点(神の視点)で描かれるから、あっちこっちに場面が飛んで、だれが、なにを知っているのかわからなくなる。ましてやマープルは途中参加で、調査シーンも少ないから、推理を組み立てにくい。というか、推理するだけの情報が提示されてない。いっそニール警部の視点で描いたほうがわかりやすいだろう。
グラディスは、マープルさんの弟子にあたるわけだが、不細工で、不器用で、不誠実で、いいところがまったくない。なのでマープルさんの怒りに共感できず、なぜ事件に首を突っ込むのか不思議だった。原作小説を読むと、マープルが愚図な娘を利用して殺したことに怒っていたことがわかる。ドラマでも怒っていたけど、義憤とまでは思わなかった。このあたりも描写不足。
エレイヌを削り、メアリー・ダブへの嫌疑を省略したのはいいが、エフィの出番は少なすぎ。雰囲気ある女優さんだから、ランスロットに助言したり、マープルに感謝するシーンはほしかった。
E「殺人者は日暮れに力弱く貧しきものを殺す...」
M「...そして夜は盗人になる」
E「残すべき財産のあるところに...」
M「...その死を願う人物が現れずには済まない」
最大の問題は、グラディスの手紙を削ってしまったこと。あれを削るんじゃ、この物語を映像化する意義がない。駄目なところは原作通り、いいところは制作の都合で割愛しちゃってる。原作への愛情や信念はないのか?
あらすじ
投資信託会社の社長、レックス・フォテスキューが毒殺された。遅効性の毒が使われたことから、イチイ層の住人が容疑者となる。翌日、後妻のアデルが毒殺され、メイドのグラディスが絞殺死体で発見された。
グラディスに行儀作法を仕込んだマープルは義憤に駆られ、フォーテスキュー家を訪れ、調査をはじめる。3つの殺人は、マザーグースの「6ペンスの唄」になぞらえていると指摘するが、前半の「クロツグミ」に符合するものがわからない。
- レックス・フォテスキュー ... 投資信託会社社長。イチイの毒で殺される。
- アデル・フォテスキュー ... レックスの後妻。ティータイムに毒殺される。
- パーシヴァル・フォテスキュー ... レックスの長男。経営者。父はピック病と思い、放逐しようと考えていた。
- ジェニファ・フォテスキュー ... パーシヴァルの妻。多額の遺産分与を約束されていた。
- ランスロット・フォテスキュー ... レックスの次男。勘当され、アフリカで暮らしていた。
- パトリシア・フォテスキュー ... ランスロットの妻。貴族。
- エフィ・ラムズボトム ... レックスの義姉。家族に不信感を抱いている。
- メアリー・ダブ ... フォテスキュー家の家政婦。
- クランプ ... フォテスキュー家の執事
- クランプ夫人 ... クランプの妻。フォテスキュー家の料理人。
- グラディス・マーティン ... フォテスキュー家の小間使い。
調査によって、半年前にパイにツグミの死体を入れる悪戯があったこと、数十年前にツグミ鉱山をめぐってマッケンジー夫人と悶着があったことがわかる。
そのとき、財産分与を終えたパーシヴァルがイチイ荘を出て行ったため、マープルは警察に身柄を拘束するよう指示する。[ネタバレ]
犯人はランスロット。グラディスをたらしこんで、そうとは知らせず毒入りマーマレードをレックスに食べさせた。混乱するグラディスを絞殺し、イチイ荘に帰ったあとにアデルのお茶に毒を混ぜた。「6ペンスの唄」になぞらえることで、罪をマッケンジー夫人に向けさせる魂胆だった。
警察に追われたランスロットは事故を起こして死亡する。動機はツグミ鉱山に眠るウラン鉱脈だった。そしてツグミの悪戯をしたのはジェニファー。彼女はマッケンジーの娘だった。
ラストはほんと唐突。なにか事情があって、制作を切り上げたような雰囲気。パトリシアもケバくて反応に乏しいから、悲しむべきか呆れるべきか迷った。
ラスト、マープルはジェニファーの正体を見抜いていたことを告げる。ジェニファーは遺産をもらって離婚すると言う。これでフォーテスキューの会社はおしまい。つまるところ、ジェニファーは復讐のため結婚したわけで、なんの救いもない。ここは希望あるラストに変えてほしかった。
整理したらもっとおもしろくなりそうな気がするんだけどなぁ。
アガサ・クリスティ | |
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ポワロ | |
デビット・スーシェ (David Suchet) | |
ピーター・ユスティノフ (Peter Ustinov) | |
声:里見浩太朗
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ミス・マープル | |
マーガレット・ラザフォード | |
アンジェラ・ランズベリー | |
ヘレン・ヘイズ | |
ジョーン・ヒクソン | |
ジェラルディン・マクイーワン | |
ジュリア・マッケンジー | |
声:八千草薫
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ゆっくり文庫 | |
奥さまは名探偵 | |
ほか | |
検察側の証人 | |
そして誰もいなくなった | |
ほか |