鏡は横にひび割れて / ミス・マープル (12/12) Miss Marple / Mirror Crack'd from Side to Side
1992年 海外ドラマ 4ツ星 探偵 推理 @アガサ・クリスティマープルがまちがえる
あらすじ
往年の大女優(マリーナ)の歓迎パーティで、村の女性(ヘザー)が毒殺された。ヘザーはお節介で無神経だが、殺される理由は見当たらない。ヘザーが飲んだのはマリーナのグラスであったことから、犯人の狙いはマリーナと推測された。実際、マリーナは何者かの脅迫を受けていた。情緒不安定になるマリーナ。
事件の直前、マリーナは階段を見て驚愕していた。そこにいたのはプロデューサーとライバルのグラマー女優。聖母子像の絵を挟んで、若い女性カメラマン。のちにカメラマンは、マリーナが捨てた養子(マーゴ)であったと判明する。マーゴはマリーナを憎んでいたが、実行した形跡はない。
マリーナの子が重度の知的障害を患ったのは、妊娠初期に発疹にかかったから。それは12年前、発疹にかかったヘザーがマリーナに抱きついたことが原因だった。無神経な自慢話が、マリーナの過去の傷をこじあけ、殺意が生じたのだ。
マリーナは、自分が狙われたように偽装し、自分を脅迫した秘書を殺害。しかし情緒不安定はひどくなるばかり。やむなく夫は、大量の睡眠薬で妻を苦しみから解放する。
- Marina Gregg ... 往年の大女優。ようやく産まれた子に知的障害があり、そのショックで映画界から遠ざかっていた。
- Jason Rudd ... 映画監督。マリーナの夫で、彼女を溺愛している。
- Lola Brewster ... グラマーな女性で、マリーナのライバル。ジェイソンをめぐって障害未遂事件を起こした過去がある。
- Ardwyck Fenn ... 映画プロデューサー。妻であるローラの出番を増やそうとしている。
- Margot Bence ... 若い、女性カメラマン。じつはマリーナの養子で、捨てられたことを恨んでいた。
- Ella Zeilinsky ... ジェイソンの秘書。ジェイソンを愛している。マリーナを脅迫したため、殺害される。
- Dr. Gilchrist ... マリーナの主治医。ヘザーの死亡を確認する。
- Heather Badcock ... 12年前、発疹を隠してマリーナに抱きついたことを自慢する。
探偵の指摘はいつも正しい。それこそ先入観だった。マリーナは加害者であり被害者、ヘザーは被害者であり加害者。ヘザーのように無神経な人物も、マリーナのように不安定な人物もいる。身勝手な行動は災いを招く。恐ろしい話だ。
ミステリーの盛り上がりは欠ける。マープルが真相を告げるまえにマリーナは死んじゃってるし、夫(ジェイソン)が罪に問われないのもモヤモヤする。マープルにとってマリーナが遠すぎる。
往年の大女優の強さと脆さという意味では、やはり『クリスタル殺人事件』のエリザベス・テイラーに及ばない。アレをこえる戦慄は、もうないかもしれない。
マープルはお節介な看護師(ナイト)に放逐する。原作ほどストレスはないが、マープルが老いに打ち克つというプロットは消えている。ちと残念だが、これは映像化しづらいだろう。
クラドック警部が甥という設定で登場。かなりハンサム。出世したスラック警視、ライス巡査部長、レイモンド、牧師、バントリー夫人と、準レギュラーが揃ってフィナーレを飾った。
鏡は横にひび割れて
- 1980 クリスタル殺人事件 (アンジェラ・ランズベリー 主演)
エリザベス・テイラーの演技に圧倒される。まさに往年の大女優。
- 1992 鏡は横にひび割れて (ジョーン・ヒクソン 主演)
シリーズ最終回として、マープルの老いが描かれる。マリーナは頑張っているが、マープルが遠すぎた。
- 2011 鏡は横にひび割れて (ジュリア・マッケンジー 主演)
クラドック警部の代わりにバントリー夫人が相棒に。マリーナが傲慢すぎて、さっぱり同情できない。
- 2018 大女優殺人事件 鏡は横にひび割れて (黒木瞳 主演)
大女優が複雑な人物として描かれるが、探偵が事件以外に興味を示さず、なにも響かない。
アガサ・クリスティ | |
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ポワロ | |
デビット・スーシェ (David Suchet) | |
ピーター・ユスティノフ (Peter Ustinov) | |
声:里見浩太朗
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ミス・マープル | |
マーガレット・ラザフォード | |
アンジェラ・ランズベリー | |
ヘレン・ヘイズ | |
ジョーン・ヒクソン | |
ジェラルディン・マクイーワン | |
ジュリア・マッケンジー | |
声:八千草薫
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ゆっくり文庫 | |
奥さまは名探偵 | |
ほか | |
検察側の証人 | |
そして誰もいなくなった | |
ほか |