レビュー  2001年06月02日  に発表された 

メソポタミア殺人事件 / 名探偵ポワロ #49 (デビット・スーシェ主演)
Murder in Mesopotamia / Agatha Christie's Poirot #49

2ツ星

異国を舞台にした、見どころのない事件

名探偵ポワロの長編ドラマのなかで、もっとも精彩を欠くエピソードかもしれない。中東を舞台にしているが、起こる事件は月並み。例によって状況がわからないまま先に進むので、どんどん興味を失う。キャラクター、セリフ回し、トリックに見るべきところはない。退屈な事件だった。

その欠落を埋めるためか、原作にないヘイスティングスを登場させているが、例によって大したことはしない。ラストに挿入されるロザコフ伯爵夫人の支払いも、ファンサービスとしてはいまひとつ。

要するに密室殺人である。フーダニット(だれが)、ホワイダニット(どうして)より、ハウダニット(どうやって)に絞って考えてほしかった。しかも明かされたトリック(窓から頭を出した瞬間に石臼を直撃させる)は、きわめて成功確率が低い。ルイーズがお面に気づかなかったり、イタズラに憤慨して屋上に登ってきたら? だれかに相談したら? 石臼が命中しなかったら? 何度か練習したのだろうか? 失敗したときの言い訳を用意していたのか?

フーダニットとホワイダニットは、犯人が明かされた途端、意味を失った。15年のブランクがあって、人相が変わっているかといって、同じ男と再婚して気づかないなんて、ありえるのだろうか? しかもルイーズは魔性の女で、いろんな男を手玉に取ってきたはずなのに、どうして夫の異常性を見落としたのか? ルイーズ以上に、エリック・ライドナー(=フレデリック・ボズナー)が魔性の男だったということか?
そしてポワロの謎解きは推論ばかりで、確たる証拠はない。よくこんなんで犯人を追求できたもんだ。

そしてそう、ルイーズである。ドラマのルイーズは(こう言っては失礼だが)ふつうの中年女性だ。飛び抜けた美女でもないし、印象的な受け答えをするわけでもない。だから周囲の人たちが振り回されるのは理解しがたい。ルイーズが若くて、絶世の美女である必要はないが、「盛りを過ぎたのに無視できない魅力」は描いてほしかった。それがこのエピソードの要だろうに。

というわけで、精彩を欠くエピソードであったと、私は思う。


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メソポタミア殺人事件 / 名探偵ポワロ #49 (デビット・スーシェ主演)