書斎の死体 / アガサ・クリスティーのミス・マープル (S1E1) Agatha Christie's Marple: The Body in the Library
2004年 海外ドラマ 3ツ星 探偵 @アガサ・クリスティテーマは愛か
あらすじ
ある朝、バントリー大佐の屋敷の書斎で、若い女性の死体が発見された。バントリー夫人は、親友のミス・マープルに調査を依頼する。マープルは殺された女性に爪を噛む癖があったことに留意する。
近隣で、若い金髪のダンサーを招いてパーティーを開くのは映画関係者のベイジル・ブレイク。ブレイクはバントリー大佐とも険悪な関係だった。しかし彼の容疑を裏付けるものはない。
観光地マジェスティック・ホテルのダンサー、ルビー・キーンが行方不明になっていた。同僚であり親戚のジョージーが遺体を確認する。ルビーは仕事をほったらかして外出、それきり姿が見えなくなっていた。
バントリー夫人はミス・マープルを連れて、マジェスティック・ホテルに滞在する。バントリー大佐は消耗していたが、夫人とマープルは無実と考えていた。
ルビーは富豪コンウェイ・ジェファースンの養女になって、莫大な遺産を受け取ることになっていた。そうなると困るのはジェファースンの義理の息子マークと義理の娘アデレードだが、ルビー死亡時刻、ふたりにはアリバイがあった。
盗難車と若い女性の焼死体が見つかって、所持品からパメラという女生徒と推定された。パメラは映画関係者にスカウトされ、それきり行方不明になっていた。
ジョーン・ヒクソン(Joan Hickson)版から20年──。英グラナダによって制作された2回目のテレビシリーズ。マープル役に起用されたのはジェラルディン・マクイーワン(Geraldine McEwan)。当時72歳だが、聡明かつチャーミング。感情をあらわにすることもあり、ヒクソンのような超然的な(ネメシスのような)雰囲気はない。親しみやすいので私は好印象。
ヒクソン版を鑑賞済みだが、ほどよくストーリーを忘れており、初見のように楽しめた。マープルさんが推理を披露すると、「そうだったのか!」ではなく「あぁ、そうだった」と膝を打った。ヒクソン版を見返すことで、違いを楽しむこともできた。
さておき本編。マープルさんが捜査に介入していく過程がおもしろい。「方向をまちがってません?」と揺さぶって、明瞭な推理を披露、興味をもったところで切り上げ。これをやられると、次に見つけた情報も報告せざるを得ない。うまいなぁ。
警視が容疑者を「アリバイはあるが動機がない」「動機はあるがアリバイがない」「アリバイも動機もない」と分類したのはわかりやすかった。しかし検死報告を改ざんしようとしたのは問題だ。マープルさんがいなければどうなっていたことか。恐ろしい。
謎解きは華がある。過去映像も挿入されるから、わかりやすい。おとり捜査の前に謎解きしてくれたのもテンポがいい。ヒクソン版は地味すぎると思ったが、マープルさんは職業探偵じゃないから地味なのは当たり前。しかし本作の方が親しみやすい。謎解きで盛り上がらないと、ミステリーを見ている気がしない。
事件に目を向けると、犯人と動機を変わっている。同性愛や女性プロデューサーは時代背景に合ってないだろう。つづく「牧師館の殺人」もそうだが、愛が強調されるのは違和感もあるが、ヒクソン版をなぞっても仕方ない。マープルさんだけでなく、事件もわかりやすくなった。これはこれでよい。新しいシリーズの始まりを祝したい。
アガサ・クリスティ | |
---|---|
ポワロ | |
デビット・スーシェ (David Suchet) | |
ピーター・ユスティノフ (Peter Ustinov) | |
声:里見浩太朗
|
|
ミス・マープル | |
マーガレット・ラザフォード | |
アンジェラ・ランズベリー | |
ヘレン・ヘイズ | |
ジョーン・ヒクソン | |
ジェラルディン・マクイーワン | |
ジュリア・マッケンジー | |
声:八千草薫
|
|
ゆっくり文庫 | |
奥さまは名探偵 | |
ほか | |
検察側の証人 | |
そして誰もいなくなった | |
ほか |