蒼ざめた馬 / 魔女の館殺人事件 The Pale Horse
1997年 外国映画 3ツ星 探偵 @アガサ・クリスティ「馬鹿なこと言うな。そんなことは犯罪だぞ!」
クリスティ『蒼ざめた馬』を脚色したテレビ映画。マーク・イースターブルックは歴史学者から彫刻家に。アリアドニ・オリヴァは登場しない。よくわからなかったので、展開をまとめてみた。
ストーリー
主人公は若い彫刻家マーク・イースターブルック。ハーミア(資産家)とケイト(画家)という女友達がいて、どっちとも距離を保っている。
ある夜、路地裏で倒れているゴーマン神父を見つけ、紙片を託された。警察はマークを第一容疑者と疑う。マークは身の潔白を証明するため、真犯人を探すことに。
リストに名前があった人物はみな最近死んでいた。互いに関係のない自然死ばかりだが、大きな財産を少数の人物に遺している。神父は臨終の老婆からリストを託され、警察に届けようとしたところを撲殺された。すなわちこのリストは、ある犯罪によって殺された被害者たち。犯人に察知され、殺された。
リストに名前があったティリーが死亡した。ティリーは「蒼ざめた馬」を恐れていた。「蒼ざめた馬」館にはオカルトに傾倒した3人の魔女が住んでいた。彼女たちの超能力による殺人を引き受けていた。依頼するためには代理人ブラッドリーと面会しなければならない。
ブラッドリーは元弁護士で、賭けを持ちかける。特定の人物が特定の期間に死ぬかどうか。ブラッドリーは死ぬ方に賭け、依頼人は生きる方に賭ける。対象者が死ねば、依頼人には財産が転がり込み、賭けの代金を支払う。殺人の依頼にならないし、立証もできない。
マークはケイトの提案で、ケイト殺害を依頼する。ケイトは呪いを信じていなかったが、マークと親密になりたいと考えていた。数日後、ケイトは体調を崩して倒れた。
墓からティリーの遺体を掘り出し、検査すると、毒の徴候があった。リストの死者はみな髪が抜けていた。犯人は毒を盛っている。なんの毒かわからないと治療できない。
マークは調査員がケイトの日用品を調べていたことに気づく。歯磨きに毒が盛られていた。回収に来た配管業者を追いかけた。犯人は医者のオズボーンだった。
オズボーンは殺し屋。ブラッドリー経由で依頼を受け付け、3人の魔女に伝えることで捜査を撹乱。ターゲットの日用品にタウリンを混入して殺していた。
裏事情
ヴェナブルズは強盗団のボスだった。仲間が逮捕されたため、死んだ男の身分を借りて潜伏。銀行強盗で盗んだ金を美術品に替え、仲間の出所を待っていた。ヴェナブルズは代金を支払わない依頼者や、秘密を知った人物の殺害を引き受けていた。ゴーマン神父、ティリーの母親は彼らに殺された。
オズボーンはヴェナブルズを始末すると決め、嘘の証言をして警察を差し向けた。警察はヴェナブルズ、三人の魔女を逮捕したが、関係を立証できなかった。
雑感
魔術による殺人なんてありえない。しかしブラッドリーという仲介者がいることで、3人の魔女に注意が向いてしまう。クリスティは巧妙だ。また殺害方法が陰湿で、ぞっとした。魔女の話がなかったら、まっさきに毒を疑ったはず。注意をそらされると、人間は弱い。
犯人は警察の注意をヴェナブルズに向けようとするが、余計な工作に思える。これほど大掛かりな殺人請負システムを、犯人がどうやって作ったのだろう? そこまで知恵がある人物に見えない。
ふたりの美女に囲まれ、どっちも選ばず終わる。独自に協力していた刑事も、これといったドラマはなかった。もどかしい。
うまく整理できないものかね。
蒼ざめた馬
- 1997 蒼ざめた馬 / 魔女の館殺人事件 ... ドラマが足りぬ。
- 2010 蒼ざめた馬 / アガサ・クリスティーのミス・マープル (S5E1) ... うまい翻案。
アガサ・クリスティ | |
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ポワロ | |
デビット・スーシェ (David Suchet) | |
ピーター・ユスティノフ (Peter Ustinov) | |
声:里見浩太朗
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ミス・マープル | |
マーガレット・ラザフォード | |
アンジェラ・ランズベリー | |
ヘレン・ヘイズ | |
ジョーン・ヒクソン | |
ジェラルディン・マクイーワン | |
ジュリア・マッケンジー | |
声:八千草薫
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ゆっくり文庫 | |
奥さまは名探偵 | |
ほか | |
検察側の証人 | |
そして誰もいなくなった | |
ほか |