レビュー  2000年01月19日  に発表された 

エッジウェア卿の死 / 名探偵ポワロ #47 (デビット・スーシェ主演)
Agatha Christie's Poirot #47 Lord Edgware Dies

3ツ星

「ポワロは惚れません。観察するだけです」

富山敬の死去により、本作からヘイスティングスを安原義人が担当する。株の失敗で無一文になったせいか、いつになく気弱な印象。一方、ミス・レモンは出番が多く、ユーモラスで、きわめて有能。ヘイスティングスの一言が事件を解く鍵となることは多いが、今回はちょっと強引な感じ。

ポワロは引退を撤回し、ヘイスティングスが帰国したことで、ミス・レモン、ジャップ警部の4人で夕食会が開かれる。話題は「結婚」。ジャップが「これで死体があれば」と盛り上げる。やっぱりこの4人は楽しい。

ミステリーとしてみると、トリックがわかりにくい。このエピソードに限った話じゃないが、あっちこっちにカメラが飛ぶから情報整理が追いつかない。主人公であるポワロが存在しないシーンは見せないか、語るときまで伏せておいてほしい。
トリックを把握して見直すと、いくつか奇妙な点に気づく。なぜジェーンはポワロに代理人を依頼したのか? また自分の替え玉が出席する晩餐会に招いたのか? リスクばかりで、得るものは少ない。ポワロを見くびっていたのだろうか?
ドラマは、ポワロがジェーンに魅了され、彼女を守ろうとすることが土台となるが、あいにくジェーンはそれほど妖艶でも、聡明でも、庇護欲をそそるタイプでもなかった。ポワロも中盤以降はすっかり冷静に。なのでジェーンの告白も虚しく響く。登場人物を間引いて、もっとジェーンを魅力的に描いてほしかった。

あらすじ

ポワロは元女優のジェーン・ウィルキンスンに、離婚を拒むエッジウェア卿の説得を依頼される。しかしエッジウェア卿は6ヶ月前に離婚に同意する手紙を送っており、話が食い違った。(1)なぜ手紙は届かなかったのか?
後日、エッジウェア卿は黒い帽子の女に刺殺される。使用人たちはジェーンと証言するが、彼女はコーナー邸の晩餐会に出席していて、完ぺきなアリバイがあった。晩餐会の途中、ジェーンはいたずら電話で呼び出されていた。(2)だれがジェーンの存在確認をしたのか?
モノマネが得意だったカーロッタ・アダムズが睡眠薬の過剰摂取で死亡する。遺品から、カーロッタがジェーンに変装していたことがわかる。ただ鼻眼鏡は小道具ではなく、本物だった。(3)この鼻眼鏡はだれのものか?
カーロッタは金の薬入れをもっていた。Pという人物にもらって、11月から睡眠薬を飲んでいたようだ。(4)Pとはだれか?
カーロッタは妹に手紙を投函していた。1枚目はショーのこと。2枚目にロナルド・マーシュの話。3枚目に彼から2,000ドルもらってイタズラすることになったと書かれていた。ロナルドはエッジウェア卿の甥で、お金がないことは周知の事実だった。ロナルドはカーロッタを雇ったことはないと否定する。(5)カーロッタはだれに雇われたのか?

真相

犯人はジェーンだった。ジェーンはメイドの鼻眼鏡で変装し(3)、バンデューゼン夫人としてホテルにチェックイン、雇ったカーロッタと入れ替わる。そして晩餐会の最中、カーロッタに電話して首尾を確認(2)。アリバイが成立したので、みずからの手でエッジウェア卿を殺害した。使用人や女優がジェーンを見たという証言は正しかった。
ホテルでカーロッタと合流すると、晩餐会の様子を詳しく聞いて、大量の睡眠薬で毒殺する。金の薬入れは偽装用の小道具だった(4)。カーロッタの手紙を見つけたことから、「she」を「he」と偽造して、男に雇われていたように仕組んだ(5)。
ジェーンはマートン侯爵との結婚を望んでいたが、マートンは経験なカトリック信者。離婚した女性と結婚できない(1)ため、死別にするしかなかった。

このあと、ピーター・ユスティノフ主演の『エッジウェア卿殺人事件』(1985)を見たんだけど、わかりやすく、おもしろかった。スーシェ版は4人組が魅力だが、4人組を描いたことでミステリーがボケちゃってる。ミステリーとキャラクターの融合は難しいようだ。

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エッジウェア卿の死 / 名探偵ポワロ #47 (デビット・スーシェ主演)