レビュー  2000年01月02日  に発表された 

アクロイド殺人事件 / 名探偵ポワロ #46 (デビット・スーシェ主演)
The Murder of Roger Ackroyd / Agatha Christie's Poirot #46

2ツ星

「野暮な田舎者になれませんよポワロさんは...」

原作のあらすじ

名士アクロイドが自室で刺殺された。第一発見者であるシェパード医師は警察の調査を克明に記録したが、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめた。村に住む風変わりな男が名探偵ポアロであることが判明し、局面は新たな展開を見せる。

ドラマのあらすじ

ポワロは銀行に保管された一冊の手帳を読む。
そのころポワロは引退し、冬瓜栽培をしていたが、友人のアクロイドが刺殺されたことで事件捜査に乗り出す。しかし手がかりは見つからず、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめた。ポワロは関係者を喚び出して事件の概要を説明するが、犯人の名前は口にしなかった。

原作は事件の記録者(語り手)が犯人だった、という構造的なトリックをもった作品で、フェアかどうかで論争が起きた。ドラマは、何者かが書いた手帳をポワロが読んで、回想するというスタイルに翻案した。ゆえに、「だれの手帳か?」がクローズアップされると思いきや、ドラマはいつもの三人称視点で展開する。その場にポワロしかいない場面も、ポワロや手帳の記録社がいない場面も、かまわず描写されるから、「手帳を読んでいる」というスタイルは崩れてしまう。おまけに捜査は進展しないから、推理を組み立てることもできない。ドラマの中身も、演出の構造も、どっちも楽しめない。

ポワロは関係者を集めて謎解きするが、肝心の犯人の名前は伏せてしまう。怒った関係者が帰ったあとで、真犯人は、なにを考えたのか真相をべらべら語り出す。わけがわからない。自暴自棄になったかと思いきや、拳銃を手に逃走。そのくせ追い詰められると自殺。わけがわからない。

「アクロイド殺し」くらい、一人称視点で描いてほしかった。いや、ミス・マープルの「終わりなき夜に生れつく」(2013)を見るかぎり、一人称にすれば成功とはいい難いが。映像化に不向きな原作だった。

本作には、ミス・マープルのプロトタイプとなったキャロラインが登場する。演じるのはミス・マープル「ポケットにライ麦を」でメアリー・ダブを演じた人。どんな活躍をするかと思ったが、さっぱり見せ場がない。なんだかなー。

引退したポワロの憂鬱

一方で、引退したポワロの生活はおもしろかった。冬瓜を投げて文句を垂れる。ジャップ警部との再会を喜ぶが、抱き合えない。ジャップ警部は「昔のようにやりましょーよ」と復帰を促され、捜査に参加。ロンドンの封鎖された事務所を訪れ、気持ちが揺れる。幽霊を恐れて引退したのに、帰りたがっている。
ぶっちゃけ、事件そのものよりおもしろかった。

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アクロイド殺人事件 / 名探偵ポワロ #46 (デビット・スーシェ主演)