レビュー  2013年10月30日  に発表された 

死者のあやまち / 名探偵ポワロ #68 (デビット・スーシェ主演)
Dead Man's Folly / Agatha Christie's Poirot #68

3ツ星

だいぶ整理されたが、それでも足りない

ユスティノフ版『死者のあやまち』(1986)の次に鑑賞。27年前の映像化をふまえ、さまざまな工夫が凝らされていた。トリックがわかっていると、演出や翻案がよく見える。

  1. オリヴァ夫人の直感が強調される。
  2. 舟番がフォリアット家の歌を歌わない。
  3. 本物のハティは知恵遅れで、財産があった。
  4. スーザの手紙が届いたのは3週間前。
  5. スーザの上着に指輪を入れることで容疑を固め、逮捕させる。
  6. スタッブス卿は水泳を嗜まない。
  7. ハティの変装が見破られない。イタリア出身の悪人に。
  8. ハティは行方知れずのまま。
  9. フォリアット夫人の悔悟が少ない。
  10. 結末。

推理の起点は、フォリアット夫人がハティを「言うことをいちいち真に受けてられない」と言ったり、「心やさしい娘」と言うことだった。そこから「夫人は無意識に、今ここにいるハティが本物でないことを告白していた」と推理するのは、チト無理がある。いつものポワロならそれでいいが、今回はオリヴァ夫人の直感からスタートしているので、ポワロは論理的推理によって真相を暴いてほしかった。

ラスト、ポワロは「精一杯の誠意」として親子に自決の時間を与える。「ボン(よし)」の呟きから、ポワロが予期していたことがわかる。しかしフォリアット夫人は息子を匿い、事後従犯になっていたから、屋敷に放火して息子を逃がす可能性もあったはず。この点も、論理より心理、理性より感情を優先した演出だった。

本作のテーマは、オリヴァ夫人の直感をポワロが理性で完成させることにあると思う。それでこそ作家と探偵の友情が貴重なものに思えるだろう。しかし犯人の行動が合理的じゃないので、飛躍のない推理で解決するのは難しいかもしれない。

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死者のあやまち / 名探偵ポワロ #68 (デビット・スーシェ主演)