ミス・マープル/寄宿舎の殺人 (アガサ・クリスティーの葬儀を終えて) Murder at the Gallop
1963年 外国映画 3ツ星 探偵 @アガサ・クリスティキャラが立ってる
あらすじ
慈善団体の寄付を募ろうと屋敷を訪ねたミス・マープルは、老人・エンダビーが階段を転げ落ちて死亡する現場に居合わせる。これは事故ではなく、エンダビーが猫を恐れていたことを利用した殺人であると直感するが、警察は相手にしない。
やむなくマープルは遺言公開の席を盗み見る。遺産を相続するのは4人。従兄弟のジョージ(画商)、姪のロザムンド、甥のヘクター(ギャロップホテルの経営者)、妹のコーラ。コーラが「兄さんは殺されたんでしょう?」といい出したことで、場は騒然となる。
翌日、ミス・マープルがコーラに会いに行くと、彼女は背中を刺されて死んでいた。コンパニオン(話し相手)のミス・ミルクリストは、ミス・マープルが殺したと思い込んで騒ぎ出す。
エンダビーは自分の生命が狙われていることをコーラに告げていた。そのとおりエンダビーは死に、コーラも口封じされた。4人の相続人が疑わしい。ミス・マープルは、彼らが滞在するギャロップ・ホテルに部屋を取って、動向を探る。エンダビーの殺害現場で見つけたドロは、ジョージのブーツの足裏と合致した。しかしジョージは何者かによって馬小屋に閉じ込められ、馬に蹴られて死んでしまう。
マープルは犯人をおびき出すため、ダンスパーティーで心臓発作を起こしたふりをする。夜、部屋に忍び込んできた人間を警察が逮捕。犯人はミス・ミルクリスト。コーラが所有する絵に知られざる価値があったため、それを受け取るためコーラを殺害。コーラに変装して遺言公開の席に赴き、エンダビー殺害が生命を狙われていると吹聴したのだった。
マーガレット・ラザフォード主演の『ミス・マープル』シリーズ第2弾。どういうわけか、ポワロの『葬儀を終えて』を原作にしている。タイトルに「After the Funeral」とないから、オリジナルエピソードと思ってしまった。
遺言公開の様子を盗み見るは強引だが、事件の最初から探偵が介在するのはいいね。コーラの顔や話し方が事件解決のヒントになる展開は無理がある。だれにも相手にされなかったミス・ミルクリストの悲哀もない。このあたりはスーシェ版がいいね。
ラザフォード版は、とにかくミス・マープルの存在感に圧倒される。警察を含め、だれの協力も得られない。「事件を調査しています」と言うこともできない。よって、みんなが寝静まった夜に部屋を抜け出して、こそこそ調べ、人影が見えたら隠れる。私も推理ドラマはたくさん見てきたが、ちょっと類例のない切り口だ。
不気味な使用人、ミス・マープルへの求婚、自分を囮にして犯人を捕まえる展開は、第一弾「夜行特急の殺人 (パディントン発4時50分)」と同じだが、悪くない。肩を出したドレスを着て踊り、みんなの注目を集めるシーンは、ヤリスギとは思うが、おもしろかった。
マントをひるがえし、のっしのっし歩き、自分が納得するまで捜査をやめない。原作のミス・マープルとは似ても似つかないが、これはこれで味わいがある。
アガサ・クリスティ | |
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ポワロ | |
デビット・スーシェ (David Suchet) | |
ピーター・ユスティノフ (Peter Ustinov) | |
声:里見浩太朗
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ミス・マープル | |
マーガレット・ラザフォード | |
アンジェラ・ランズベリー | |
ヘレン・ヘイズ | |
ジョーン・ヒクソン | |
ジェラルディン・マクイーワン | |
ジュリア・マッケンジー | |
声:八千草薫
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ゆっくり文庫 | |
奥さまは名探偵 | |
ほか | |
検察側の証人 | |
そして誰もいなくなった | |
ほか |