レビュー  1963年06月24日  に発表された 

ミス・マープル/寄宿舎の殺人 (アガサ・クリスティーの葬儀を終えて)
Murder at the Gallop

3ツ星

キャラが立ってる

あらすじ

慈善団体の寄付を募ろうと屋敷を訪ねたミス・マープルは、老人・エンダビーが階段を転げ落ちて死亡する現場に居合わせる。エンダビーが猫を恐れていたことを利用し、だれかが殺人を企てたと直感するが、警察は事故として処理してしまった。納得できないミス・マープル、遺言公開の席を盗み見る。遺産を相続するのは4人。従兄弟のジョージ(画商)、姪のロザムンド、甥のヘクター(ギャロップホテルの経営者)、妹のコーラ。コーラが「兄さんは殺されたんでしょう?」といい出したことで、場は騒然となる。
翌日、ミス・マープルがコーラに会いに行くと、彼女は背中を刺されて死んでいた。コンパニオン(話し相手)であるミス・ミルクリストは、ミス・マープルが殺したと思い込んで騒ぎ出す。

エンダビーは自分の生命が狙われていることをコーラに告げていた。そしてそのとおりエンダビーは死に、コーラも口封じされた。4人の相続人が疑わしい。ミス・マープルは、彼らが滞在するギャロップ・ホテルに部屋を取って、動向を探る。エンダビーが殺害された現場で見つけた泥は、ジョージのブーツの足裏と合致した。しかしジョージは何者かによって馬小屋に閉じ込められ、馬に蹴られて死んでしまう。

ミス・マープルは犯人をおびき出すため、ダンスパーティーで心臓発作を起こしたふりをする。夜、部屋に忍び込んできた人間を警察が逮捕。犯人はミス・ミルクリスト。コーラが所有する絵に知られざる価値があったため、それを受け取るためコーラを殺害。その後、コーラに返送して遺言公開の席に行き、エンダビー殺害の犯人を知っていたため口封じされたように仕組んだのだった。

マーガレット・ラザフォード主演の『ミス・マープル』シリーズ第2弾。しかしなぜかポワロの『葬儀を終えて』を題材にしている。タイトルに「After the Funeral」とないから、オリジナルエピソードと勘違いした人も多いんじゃなかろうか。
デヴィッド・スーシェの『葬儀を終えて』(2006)と同じく、事件の最初から探偵が介在するのはいいね。しかし職業探偵ではないミス・マープルが遺言公開の席に居合わせることはできなかったようだ。なのでコーラの顔や話し方が事件解決のヒントになる展開は無理がある。だれにも相手にされなかったミス・ミルクリストの悲哀もない。このあたりはデヴィット・スーシェ版がいいね。

マーガレット・ラザフォード版は、とにかくミス・マープルの存在感、行動力が目立つ。警察を含め、だれの協力も得られない。「事件を調査しています」と言うこともできない。なので、みんなが寝静まった夜に部屋を抜け出して、こそこそ調べて、人影が見えたら隠れる。私も推理ドラマはたくさん見てきたが、ちょっと類例のない切り口だよね。不気味な使用人、ミス・マープルへの求婚、自分を囮にして犯人を捕まえる展開は第一弾「夜行特急の殺人 (パディントン発4時50分)」と同じ。肩を出したドレスを着て踊り、みんなの注目を集めるシーンは、ヤリスギとは思うが、おもしろかった。

マントをひるがえし、のっしのっし歩き、自分が納得するまで捜査をやめない。
原作のミス・マープルとは似ても似つかないが、これはこれで味わいがある。


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ミス・マープル/寄宿舎の殺人 (アガサ・クリスティーの葬儀を終えて)