レビュー  1996年03月16日  に発表された 

もの言えぬ証人 / 名探偵ポワロ #45 (デビット・スーシェ主演)
Dumb Witness / Agatha Christie's Poirot #45

3ツ星

あいまいな事件

あらすじ

 資産家の老婆エミリーが階段から転げ落ちる。ポワロはワイヤーが張ってあったことに気づき、エミリーに警告、遺言状を書き換えるようにすすめる。
 後日、エミリーは緑色の煙を吐きながら死んでしまう。警察は肝不全による自然死と判断。死亡解剖は行われなかった。莫大な遺産はコンパニオンのウィルミーナへ。遺産を受け取るはずだった親族は怒り心頭。
 エミリーの飼い犬ボブは、ワイヤーを張った犯人を見ていたはずだが、証言できない。ポワロはボブのサインを読み取ろうとする。

  1. エミリー・アランデル ... 資産家の老嬢。ポワロの忠告で遺言を書き換えるが、その直後に死亡する。
  2. チャールズ・アランデル ... エミリーの甥。冒険家。ヘイスティングスの友人。浪費家で、遺産相続を期待していた。エミリーの死因であるリンを管理していた。
  3. テリーザ・アランデル ... エミリーの姪で、チャールズの妹。やはり遺産を熱望していた。イニシャルが「T.A.」のため、転倒事故の容疑者と思われる。
  4. ベラ・タニオス ... エミリーの姪。ジェイコブと結婚しているが、夫を恐れている。
  5. ジェイコブ・タニオス ... ギリシャ人医師。イギリス国内で差別を受け、ギリシャに帰ろうとしている。妻子への虐待を疑われている。エミリーに薬を処方していた。
  6. トリップ姉妹 ... 霊の存在を信じる老婦人たち。
  7. ウィルミーナ・ローソン ... エミリーの話し相手。ポワロの忠告で遺言書が書き換えられたため、エミリーの遺産をすべて相続することに。
  8. ジョン・グレンジャー ... エミリーの主治医。薬を処方していた。ウィルミーなに好意を寄せている。ガス漏れで窒息死する。

ミステリーについて

エミリーの死因がはっきりしないため、殺人として推理することにブレーキがかかる。複数の薬を嚥んでいたこともまぎらわしい。調べればわかることで、容疑者を増やしてほしくない。

他殺と仮定した場合、動機はなにか? 親族は遺産をもらえるチャンスを失うから、除外できる。ウィルミーナが主人の心変わりを恐れた可能性はあるが、人柄や経済事情の調査は浅く、はっきりしない。

だれが階段にワイヤーを張ったのか? ウィルミーナに得るものはないから、親族全員が容疑者になる。ワイヤーを張った人物とリンを飲ませた人物が同じなら、遺言状の書き換えが行動に影響を与えなかったことになる。犯人の目的は、1.遺産ではない。2.遺言状の書き換えを知らない。3.すでに仕掛けた罠を解除できなかった。となる。これが3と断定する根拠も足りない。

犯人は時限式の毒薬を仕掛け、意図せずエミリーを殺してしまった。ならば毒薬の回収を試みてもいいはず。またこの動機と方法だと親族全員が容疑者となる。結局、鏡に写ったイニシャルで犯人が特定されるわけだが、これから殺しの罠を仕掛けるのにイニシャル付きのガウンを羽織るなんて軽率じゃないか? てゆうか「AT」のガウンを羽織っていても、それがベラとは限らない。弱い。
だのにベラは犯行を自供してしまう。なんだかなー。
容疑者を増やすばかりで、推理の組み立てが難しい事件だった。

ドラマについて

原作と異なり、ポワロとヘイスティングスはチャールズを介してエミリーと知り合う。しかもチャールズが派手な事故を起こすため、観客はエミリーに注目しなくなる。原作通りの導入部でよかったのに。ジェイコブがギリシャ人として差別を受けているのも、感覚的にわかりにくい。

結局、テリア犬の愛らしさと、トリップ姉妹のコミカルさで引っ張ったエピソードだった。


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