レビュー  2009年09月06日  に発表された 

ポケットにライ麦を / アガサ・クリスティーのミス・マープル (S4E1)
Agatha Christie's Marple: A Pocket Full of Rye

3ツ星

やっぱりマープルさんの関与が少ない

あらすじ

投資信託会社の社長、レックス・フォーテスキューが毒殺され、ポケットから一握りのライ麦が見つかった。疑わしいのは、娘ほど年の離れた美しい再婚相手のアデルと、レックスの経営に批判的だった長男パーシヴァル。次男ランスロットは勘当されていたが、レックスに呼ばれイチイ荘に帰ってきた。
その夜、アデルが毒殺され、メイドのグラディスの絞殺死体で発見された。グラディスの鼻には洗濯ばさみが挟まっていた。
マープルは、自分が行儀作法を仕込んだグラディスが殺されたことに憤慨し、イチイ荘を訪れる。刑事を褒め殺して、捜査を手伝うことになった。

  • アデルは若い男(ヴィヴィアン・デュボア)と浮気していた。
  • レックスの死によってアデルは少なくない遺産を継ぐことになったが、一ヶ月の猶予期間内に死んだたため相続はされないことに。
  • 毒物(タキシン)が入ったマーマーレードの瓶が庭の茂みから見つかった。
  • グラディスはバートという鉱山技師に夢中で、自白剤の記事を読んでいた。
  • レックスの無謀な投資によって会社は倒産寸前だった。長男パーシヴァルは父を病院に拘束しようと考えていた。パーシヴァルは第1の殺人は可能でも、第2、第3は不可能だ。
  • レックスはツグミにまつわる嫌がらせを受けていた。レックスはクロツグミ鉱山の採掘権をマッケンジーという男から巻き上げ、恨みを買っていた。マッケンジーの妻は療養所にいるが、高齢のためぼけていた。息子と娘に復讐を命じていた。家政婦のメアリー・ダブは、ルビー・マッケンジーではないかと疑われる。
  • ランスロットはパーシヴァルを憎んでおり、価値のない鉱山の採掘権で関係を精算しようとする。その鉱山はランスロットが住んでいた地域にあり、良質のウラン鉱脈が見つかっていた。

【結末】
マープルはランスロットが犯人であることを見抜くが、証拠がない。刑事に推理を話して、捜査の継続をゆだねる。セント・メアリー・ミードに帰ると、グラディスから手紙が届いていた。そこにバート(ランスロット)とグラディスの写真が同封されていた。

シーズン4からマープルさん役がジュリア・マッケンジー(Julia McKenzie)に交代。吹き替えも藤田弓子に変更された。マクイーワン版ほど切れ者に見えず、ヒクソン版ほど超然としていない。うわさ話が好きな老婆。これはこれで収まりがいい。

ヒクソン版に比べ、ストーリー上の差異は下記の通り。

  • 長女のエレン・フォテスキューが登場。その恋人、ジェラルド・ライトの存在が言及されるが、嫌疑はかからない。
  • パトリシア・フォテスキューの出番が増え、マープルに気遣われることに。
  • 執事クランプが目立つが、意味はない。
  • パーシヴァルの妻・ジェニファが悪食に描かれる。
  • アデル、グラディスの殺害の順番がちがうことが指摘される。
  • マッケンジーとマープルの会話シーンの追加。
  • ランスロットが事故死せず、グラディスからの手紙が届くシーンが追加される。

情報が増えたけど、魅力が増したとは言いがたい。またマープルさんの関与が遅くて、少なすぎる。刑事をおだてて協力するのはいいが、死んだメイドの知り合いくらいで屋敷の中を自由に行動できるとは思えない。ランスロットの妻、パトリシアに気に入られているが、ランスロット夫妻はイチイ荘の住人じゃないから、後ろ盾としては弱い。

しかしラストシーンはよかった。これが本来のオチなんだね。かわいそうなグラディス。無垢がもたらす破滅か。複雑な表情のマープルさん。作品の印象がぐんとよくなった。

ポケットにライ麦を (1986)
※ポケットにライ麦を (1986)

ポケットにライ麦を (2009)
※ポケットにライ麦を (2009)

ポケットにライ麦を (2017)
※【ゆっくり文庫】ポケットにライ麦を (2017)

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ポケットにライ麦を / アガサ・クリスティーのミス・マープル (S4E1)