鬼談百景 (全10話) Kidan Hyakkei

2015年 日本ドラマ 3ツ星 ホラー:ショート

よくある投げっぱなし短編ホラー

ミステリー作家である「私」のもとに読者から投稿された怪談話──という体裁で綴られる連作短編ホラー。「私」のやる気のないナレーションがいい感じだが、投げっぱなしの終わり方は「新耳袋」そっくり。原作小説もそうなのか、監督の個性なのか、日本のホラードラマは煮詰まってしまったのか? よくわからない。
映画『残穢 -住んではいけない部屋‐』のスピンオフとして制作されたものだが、本編と重なるところがあったのかどうか? 映画の宣伝という意図はあったのだろうか? よくわからない。

追い越し

[あらすじ] 深夜のドライブを楽しむ若者たちが不気味な女を追い越した。しかし女は猛スピードでついてきた。

[感想] 出だしの雰囲気はよかったがオチにがっくし。どうしてモンスター路線になるのだろう。体験談という枠組みも台無し。同じ女性を何度も追い越しするとか、追い越す人の様子が変わっていくとか、ちょっとした非日常でいいのに。

密閉

[あらすじ] 別れた彼氏が置いていったスーツケースに怪物が棲んでいるとわかった。女は男をそいつに喰わせてしまう。

[感想] 受動的に見えた女の突発的な行動がおもしろかった。『クリープショー』(1952)の「箱」を思い出す。猫で試すとか、男が急に優しくなってためらうとか、そういった演出があってもいいと思うが、これはこれでいっか。最後はスーツケースの処分に困るが、まただれかが拾っていくというオチはどうだろう?

影男

[あらすじ] ガラス戸を叩く影男に悩まされる。

[感想] 意味不明。婆さんのアップと耳障りな音がつらかった。

尾けてくる

[あらすじ] ある女子高生が公園の木立から自分を見ている男に気づく。よく見るとそれは首吊り死体だった。以来、彼女はその男の幻覚をよく見るようになる。

[感想] 星を見る少女の亜種。というか劣化版。

どこの子

[あらすじ] 夜の職員室に残っていた教師は戸口に立つ女の子を目撃する。以来、教師は不気味な影に悩まされる。

[感想] 画面が暗く、時系列が飛ぶため、わかりにくい。なにをしたいのか、なぜ教師だけ遭遇するのか、意味がほしかった。

空きチャンネル

[あらすじ] 夜、高校生がラジオの空きチャンネルから女の声が聞こえてくることに気づく。やがて彼は縊死体として発見される。

[感想] 映像は不気味だが、支離滅裂。高校生がラジオなんて、80年代という設定なんだろうか?

一緒に見ていた

[あらすじ] 午後の学校で、事務員の女性の縊死体が発見される。若い教師が遺体の番をすることになるが、彼の背後には死んだ女の霊がずっと立っていた。

[感想] 庭に立っていた事務員が女子生徒とぶつかるのはおもしろかった。しかし演出の意図がわからない。恐怖に屈しない教師の強さもいいが、ドラマ的な意味づけがない。教師にとっては日常茶飯事なのか? 死んだのが事務員ではなく、ストーカー女生徒あたりならおもしろかったかも。

赤い女

[あらすじ] 女子高生たちがホームパーティーを楽しむ中、「赤い女」の怪談が話題に登る。話を聞いた人につきまとう怪物だと言うので、場は白け、解散となった。主人公は「赤い女」を押し付けるため話したのだった。が、なぜか逃げられなかった。

[感想] 都市伝説としての魅力に欠ける。女の子のはしゃぎが長くて、要点がわからなかった。

どろぼう

[あらすじ] 女子高生は、近所に住む母親のおなかが大きくなったり小さくなることを不審に思う。その家の子から話を聞いて、産まれた赤子を溝に流しているのではと疑うが、確証は得られなかった。結局、彼女は溝を恐れるようになる。

[感想] なんとも中途半端。疑惑から目を逸らすなら、葛藤を描いてよ。

続きをしよう

[あらすじ] 墓地で遊ぶ8人の子どもたち。1人また1人と怪我をして、帰っていく。最後の1人になっても「続きをしよう」と声をかけられる。結局、最後の1人は無傷のまま帰れたが、なにがあったか話そうとしなかった。

[感想] 古めかしい映像がいい。怪我した子が「帰っていいよね?」と笑うことや、「続きをしよう」の声の主が画面に映っていない異常さが少しずつ見えてくる演出はよかった。ただ、最後の1人がなにを見たのか伏せるのは手抜き。ちゃんと向き合うか、聞くに聞けない理由があるといった演出がほしかった。
たとえば、同窓会で過去のエピソードを思い出しながら、最後の1人がやってくるのを待って、来たら質問するといった構成はどうだろう?

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